NVIDIAは9日、「Max-Q Design」に関する記者説明会を実施。COMPUTEX TAIPEI 2017で発表した内容を国内で改めて説明した。
性能ではなく効率を追求していき、ゲーミング性能とノートPCとしての携帯性を両立させたプラットフォームとなる「Max-Q Design」
NVIDIAアジア太平洋地域担当テクニカルマーケティング・ディレクターのジェフ・イェン(Jeff Yen)氏が、Max-Qについて解説
GeForceシリーズを採用するゲーミングノートPCのリファレンスデザインとなる「Max-Q Design」は、ノートPCをひたすら高性能に振り切るのではなく、徹底的な効率化により性能とサイズのバランスを取るために誕生した。
ちなみにMax-Qとは、人間が搭乗したロケットを宇宙に打ち上げる際、ロケットにかかる動圧が最大になる時点と定義されている。したがって、ロケットのデザインはMax-Qに基づき精密に設計されている。
NVIDIAは、同様の哲学をゲーミングノートの設計に適用し、前世代の製品と比較して厚さは3分の1、パフォーマンスは最大3倍になるノートをOEMが構築できるようにした。
第2世代MaxwellのGTX 880Mを搭載したゲーミングノートPCと比較した場合、Max-Q Design採用PCは約3分の1となる薄型化を実現。重量も2分の1と薄型軽量になりながら、パフォーマンスは3倍になる
性能と駆動時間の向上を目指すチューニング、対応ゲームの最適化、放熱設計の見直し、次世代の電源レギュレーターの採用などにより、従来のノートPCよりも高性能かつ薄型化が実現できるという
最大の性能を発揮するためには膨大な電力が必要となり、効率は悪くなる
効率を極限まで追求すれば、高性能、薄型、静音のすべてを満たせる。これがMax-Qの設計理念となる
従来の厚さ18mmノートと、Max-Q Designの厚さ18mmノートの性能比較
さらにNVIDIAは、ゲームプレイ中にノートをより静かに稼働させるNVIDIA WhisperModeサイレントテクノロジーも発表した。これは、ゲームのフレームレートを調整し、電力効率が最適になるよう、グラフィックス設定を構成する機能。GPUのクロックを下げるのではなく、グラフィックス設定を最適化することで、ノートの静音化を実現する。このWhisperModeはGeForce Experienceのソフトウェアアップデートを通じて提供される。
WhisperModeを有効にすると、ノートPCが発するファンの騒音が下がるので、大音量でゲームサウンドを鳴らす必要がなくなる
WhisperModeは、電力効率が最も高くなるようにグラフィックス設定を構成する。結果的に静音につながるというわけだ
GeForce GTX 1080/1070/1060を搭載した「Max-Q Design」のゲーミングノートPCは、6月27日から世界の主要なノートPC OEMおよびシステムビルダーから提供開始となる。現状では下記3製品が対象となる。
GeForce GTX 1070搭載のCLEVO「P950」。厚さは19mm
GeForce GTX 1080搭載のASUS「ZEPHYRUS」。厚さは18mm
GeForce GTX 1070搭載のMSI「GS563」。厚さは18mm
なお、「Max-Q Design」の認証取得については明確なレギュレーションはなく、パートナー企業との協力によりNVIDIAが「Max-Q Design」として認定するかを、その都度決めていくとのこと。
MSIの「GS563」で鉄拳7をプレイしてみたところ、約60fpsを維持しつつも、ファンが大騒音をかき鳴らすことはなかった
ASUS「ZEPHYRUS」のデバイスマネージャーを確認すると、GPUはGeForce GTX 1080 with Max-Q Designとなっていた