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ゲーミングPCがトレンドになっている理由

eSportsにVR、PCゲーム界隈で今起きていること

2017年06月08日 14時00分更新

文● 平澤寿康 編集●ジサトライッペイ

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VRもPCゲーム市場の拡大を後押し

 eSportsと並んで、ゲーミングPC市場を後押ししている存在がある。それが「ヴァーチャルリアリティー」(VR)だ。「ヘッドマウントディスプレー」(HMD)という専用のゴーグルを装着することで、あたかも3Dの仮想空間内に存在するような感覚が得られるVR。360度全天周の写真や動画を撮影できる専用カメラの登場や、ゲームを中心としたVR対応アプリの登場などによって、VRを楽しむ人も年々増加している。

  そんなVR業界をけん引している2大VR HMDデバイスがある。まずは、PC環境でのVR HMDデバイスのパイオニア的な存在となっている、Oculusの「Oculus Rift」だ。先駈けてPC用のVR HMDを開発し、様々なゲームアプリも対応するなど、PCでのVR HMDの標準的存在となっている。

PC向けVR HMDのパイオニア的存在の「Oculus Rift」。PCゲーム用のVR HMDデバイスとして標準的な存在だ。

 そして、2016年の登場以降、一気に勢力を伸ばしているPC向けVR HMDデバイスが、HTCの「Vive」だ。こちらは、外部にプレーヤーの空間における位置を把握するセンサーを設置することで、約3m×3m程度の空間を自由に移動しながら仮想空間を楽しめるという大きな特徴がある。これによって、実際にフィールド内を歩いて移動しながらプレイできるという、これまでにはない臨場感を実現して話題を呼んだ。また、高性能なゲーミングPCで使うことを前提とし、ほかのどのVR HMDよりもリアリティーのあるVR体験ができることで人気だ。

一気にシェアを伸ばしているPC向けVR HMDデバイス「HTC Vive」。

外部にプレーヤーの位置を把握するセンサーを設置することで、移動しながらVRコンテンツやVRゲームを楽しめる点がViveの魅力。

今後は低価格VR HMDも普及してくる

 このOculus RiftとHTC Viveが現在のハイエンドVR HMDでVR業界をけん引している存在なわけだが、Oculus Riftは6万円台(専用モーションコントローラーセットだと7万円台)、HTC Viveは10万円台と、PCの周辺機器としてはかなり高価で導入の敷居が高い。また、接続するPCも高性能なグラフィックボードを搭載する高価なゲーミングPCが求められるため、VRがPCゲーム市場の拡大を後押ししているというわけだ。

 そんな中、Microsoftは「Windows Mixed Reality」という新たなVRプラットフォームを開発し、今年後半からそれに対応した低価格なVR HMDがLenovoやHP、Acerといったメーカーから続々と出てくる予定だ。接続するPCの性能も一般的なノートPCでも動作するようになる。さすがにHTC Viveほどリッチな体験にはならないだろうが、これでVRの敷居はグッと下がるだろう。もちろん、リッチなコンテンツはこれまで通り高性能なゲーミングPCが必要だが、まずはVRを試せるカジュアルな環境ができあがりつつあるのはVR普及の大きな足掛かりになるだろう

レノボが発売を予定しているWindows Mixed Reality対応の低価格HMD。500ドルを切る比較的安価な価格での販売を予定。他にも多くのメーカーが販売を計画している。

こちらはHPのWindows Mixed Reality対応HMDの開発者向けキット。価格は329ドルで2017年10月頃の発売となるが、先行予約がすでに始まっている。

日本での発売も発表した、AcerのWindows Mixed Reality対応HMDの開発者向けキット。価格は4万円で8月以降の出荷となる見込みだ。

 ちなみに、Windows Mixed Realityはゲームや映像コンテンツを楽しむエンターテインメント用途だけのものではない。VR HMDを装着し、室内空間にアプリケーションウィンドウや各種情報を投影表示し、今いる空間そのものをWindowsの作業空間にしてしまうという、Windows 10の新しい機能として実装される。

 また、現在は有線で接続しているVR HMDだが、近い将来はPC部をHMDに内蔵したオールインワンの完全ワイヤレスタイプが出てくるだろう。事実、Microsoftは「Hololens」、Intelは「Project Alloy」といったPC部を内蔵したオールインワンVR HMDをすでに開発している。Hololensはすでに医療現場や航空産業など、様々な場面で実際の活用が始まっている。Projct Alloyはコンセプトモデルだが、第7世代Coreプロセッサーを搭載し、3Dカメラ「RealSenseカメラ」で取り込んだ外部の映像をVR空間と融合して表示するなど、新しいVRの楽しみ方を提案している。
 

MicrosoftのHololens。すでに様々な産業での利用が始まっている。

PC一体型の次世代HMDプラットフォーム「Project Alloy」。VRとARを融合させ、単体で利用できるため、臨場感が大きく高まると期待される。

 さらに、IntelはCOMPUTEX 2017の基調講演で“WiGig”と呼ばれる次世代の映像転送規格を採用したHTC Viveを使った、ワイヤレスVRデモを披露した。現在の無線規格だと遅延がひどいVR用の高解像度映像も、WiGigで快適に楽しめる未来はそこまできている。

WiGig対応のHTC Viveを使ったデモ。

ゲーミングPCを買って、ゲームやVRを楽しむなら今が最適!

 このように、日本でもeSportsやVRの注目度が高まるのに比例して、PCゲーム市場も盛り上がってきている。そして、PCゲームを快適に楽しめる高性能なゲーミングPCが様々なメーカーから販売され、しかもお買い得な製品も多数登場している。それらを購入するだけで、すぐに最新PCゲームやVR HMDデバイスを利用したVR対応アプリケーションを楽しめるのだから、以前に比べて敷居は大きく下がったと言っていいだろう。

 今、日本のPCゲーム業界は、過去にないほど盛り上がりを見せつつある。だからこそ、ゲーミングPCを購入し、PCゲームやVR HMDを始める、最適のタイミングが今なのだ。もし、eSportsからPCゲームに興味を持ったり、VR HMDを楽しみたいと考えているなら、臆することなくゲーミングPCを購入してみてもらいたい。そこには、これまでにない楽しく魅力満ちあふれる世界が待ち受けているはずだ。

■関連サイト
Intel Extreme Masters
Oculus Rift
HTC Vive
Windows Blog

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