大容量バッテリー搭載機種か、小型で消費電力が小さい機種を選ぶべきか。スタミナ重視のスマホとして取り上げている「ZenFone 3 Max」「AQUOS SERIE mini」「RAIJIN」の3機種だが、今回はそれとは直接関係しないカメラの比較をしていく。
カメラのスペック面ならAQUOS SERIE miniが有利に
スタミナで有利なスマホは、大容量バッテリー搭載か、それとも小さな画面の機種か、という視点で比較しているスマホ定点観測だが、今回取り上げているのはASUS「ZenFone 3 Max(5.2型)」、au/シャープ「AQUOS SERIE mini SHV38」、FREETEL「RAIJIN」。
スペック&料金比較では3機種一長一短で引き分け、スピード勝負ではAQUOS SERIE miniが終始リードし続け1勝という展開。まずはカメラの主なスペックについて確認してみよう。
ZenFone 3 Max(5.2型) | AQUOS SERIE mini | RAIJIN | |
---|---|---|---|
アウトカメラ画素数 | 1300万画素 | 2100万画素 | 1600万画素 |
アウトカメラF値 | 2.2 | 1.94 | 2 |
インカメラ画素数 | 500万画素 | 800万画素 | 800万画素 |
インカメラF値 | 2.4 | 2.4 | 2 |
動画と静止画の同時撮影 | ○ | ○ | × |
動画最大サイズ | HD | フルHD | フルHD |
シーン設定の有無 | × | ○ | × |
露出補正 | ○ | ○ | ○ |
ホワイトバランス調整 | ○ | ○ | ○ |
今回もAQUOS SERIE miniが有利と言えるだろう。インカメラも含めて高画素のカメラを搭載し、レンズの明るさを示すF値はアウトカメラが1.94(画像ファイルの情報から)。省かれがちな手動のシーン設定を含めて細かいところまで充実している。
画素数だけで見ればRAIJINが続く。レンズのF値はインカメラも含めて明るめだ。ただし動画撮影中に静止画のシャッターボタンが表示されているものの、タッチしても反応しなかった。
ZenFone 3 Maxはこのスペック表だけでは特別に強そうな部分は見られず、動画の撮影サイズもHDまで。どうしても他の2機種に比べやや見劣りする。
カメラの起動時間で早速AQUOS SERIE miniがリード
続いてカメラのスピードを見ていく。最初にロック画面とホーム画面からのカメラの起動時間をチェックした。
計測方法はカメラアイコンをタップもしくはスワイプした瞬間から、カメラ画面のアイコンや画面の明るさが安定するところまでの時間を動画に撮影して計算。なお計測は各機種3回ずつ。結果は以下の通りだ。
ZenFone 3 Max | AQUOS SERIE mini | RAIJIN | |
---|---|---|---|
カメラ起動速度 |
1秒70~2秒03 (ロック画面) |
1秒40~1秒43 (ロック画面) |
1秒63~2秒24 (ロック画面) |
1秒33~1秒74 (ホーム画面) |
1秒03~1秒17 (ホーム画面) |
1秒96~2秒20 (ホーム画面) |
ここでも速いのはAQUOS SERIE mini。前回はベンチマークから実際に操作しての文字入力でもトップだったが、カメラも素早く起動した。ここはCPUも含めたスペックの差が出たと言えそうだ。
あとの2機種ではZenFone 3 Maxがやや速い印象。RAIJINはロック画面でカメラアイコンをスワイプする際に反応がシビアでやり直しが多い。
撮影間隔で圧倒したRAIJIN
シャッターの連打が可能
撮影中のスピードもチェック。シャッターを切る撮影間隔を計測した。ただし非常に速いため、動画で撮影し、シャッターを切るアニメーションや音を参考に測定した。
ZenFone 3 Max | AQUOS SERIE mini | RAIJIN | |
---|---|---|---|
カメラ撮影間隔 | 0秒80~0秒94 | 0秒63~0秒80 | 0秒36~0秒50 |
体感的にも明らかに速いのがRAIJIN。シャッターボタンを連打して撮影することができる。ただしシャッターを切るアニメーションやアイコンの動きが無く、音だけで判断した。実際はもっと速いかもしれない。ただしピントが甘い画像も含まれていた。
2位のAQUOS SERIE miniは、シャッターボタンを押してから切るまでにワンテンポ遅れる感じ。3位のZenFone 3 Maxでは撮影間隔が1秒近くになるものの、操作しての印象ではこれくらいが普通では? と思えるので大きなマイナスにはならない。
デジイチと実写比較 RAIJINが若干リードか?
ここからは実際に撮影した画像を比較。まずはキヤノンのデジタル一眼EOS 70Dの画像と比べてみる。人形やカラータイルを撮影し、デジイチと比較する。なお撮影はオート任せだ。
パッと見てAQUOS SERIE miniは暗めに感じる。とくにカーテンの色が全体的に黒っぽくなってしまった。ただ他の部分は色がハッキリしており、2つの人形や造花は鮮明で、カラータイルは色がベトッと塗ったような濃さ。これはこれで味のある写真だと思う。
逆にRAIJINはずいぶんと明るく、ウサギの人形はリアルで見ると銀色に近いが、画像は灰色よりもさらに白っぽく見える。カラータイルやアヒルの人形、造花はデジイチに近い。
ZenFone 3 Maxはウサギの人形やカーテンが緑っぽいのが痛い。アヒルやカラータイルの色は鮮やかなのだが。
このように3枚とも難しいが、RAIJINがやや有利かなと判断した。
インカメラで3枚を比較するとドギツイ色に……
インカメラでも比較する。こちらは筆者の主観でキレイな1枚を決める。
3枚ともずいぶんドギツイ画像となっている。被写体に加えたシーラカンスの人形がかなりギラギラしているのだ。特にAQUOS SERIE miniはアウトカメラと同じく、暗めだが色の濃さが強い1枚。
ZenFone 3 MaxとRAIJINはとても似た画像になっており、非常に明るい。ただRAIJINのほうが白っぽく、カーテンやウサギの人形、造花の花びらは相当白い。ZenFone 3 Maxはカーテンにやや茶色が残っている(実際のカーテンはもっと茶色が強めだが)。ただしカラータイルの色は薄め。
それぞれかなり個性的な写真になったので……引き分けだ。
暗所撮影ではRAIJINがリードか
さらに暗所撮影も比較してみる。こちらは再びデジイチと比較する。被写体の明るさは一般的なオフィスとしてはかなり暗めの150ルクス程度に設定。
ZenFone 3 Maxがここでも緑っぽい画像になってしまい最初に脱落。残りの2機種はアヒルとカラータイルの印象はデジイチと近い。だがAQUOS SERIE miniは背後や床がかなり明るく白っぽい。この比較ではRAIJINが一歩リードではないだろうか。
暗所をインカメラで撮るとAQUOS SERIE miniがキレイ
再びインカメラを使い、今度は暗所撮影を行った。こちらも筆者の主観で1枚を決める。
まず明らかに違和感があるのはZenFone 3 Max。床が茶色っぽく、背後は緑と黄色が混ざったような。アヒルの人形を見ても赤っぽい部分が見られる。
AQUOS SERIE miniとRAIJINを比べると、これはAQUOS SERIE miniが有利か。全体的に明るく違和感のある色が少ない。現実の被写体を考えると明る過ぎるが、画像は一番キレイに感じた。RAIJINは全体的に暗めで、これはこれでリアルだが、床の左側は緑っぽい部分が気になった。
この連載の記事
-
第212回
スマホ
3キャリアの主力ハイエンド機「Xperia XZ2」「Galaxy S9」「Mate 10 Pro」のスタミナ比較 -
第211回
スマホ
3キャリアの主力モデル「Xperia XZ2」「Galaxy S9」「Mate 10 Pro」でカメラ勝負! -
第210回
スマホ
3キャリアの主力モデル「Xperia XZ2」「Galaxy S9」「Mate 10 Pro」の速度対決 -
第209回
スマホ
3キャリアの主力販売モデル「Xperia XZ2」「Galaxy S9」「Mate 10 Pro」を比較 -
第208回
スマホ
「MONO」「Qua phone」「Android One」、キャリアのミドルクラスのスタミナは? -
第207回
スマホ
「MONO」「Qua phone」「Android One」、キャリアのミドルクラスのカメラをチェック -
第206回
スマホ
キャリアのミドル機「MONO」「Qua phone」「Android One」の速度比較 -
第205回
スマホ
主要3キャリアの最新ミドル機「MONO」「Qua phone」「Android One」を比較 -
第204回
スマホ
Galaxy、isai V30+、Xperia、ハイスペック機のスタミナテスト -
第203回
スマホ
Galaxy、isai V30+、Xperia、ハイエンドスマホのカメラをチェック -
第202回
スマホ
Galaxy、isai V30+、Xperia、キャリアのハイスペック機の速度を比較 - この連載の一覧へ