春のヘッドフォン祭 2017 第16回
拡張ボードも充実、アンダー1万円から始められるハイレゾ生活
進化の速い「ラズパイ・オーディオ」の現状、ここまでやれる!
2017年05月13日 12時30分更新
ラズパイ+拡張ボードが収まるアルミ削り出しケースを製品化
ラズパイの特徴の1つにI2S接続(I2SはIC間でオーディオ信号を伝送するためのバス)でオーディオ信号をやりとりできる拡張ボードが使えることがある。ハンダ付け不要で、手軽にDAC、ヘッドフォンアンプ、パワーアンプなどが増設できる。
これは非常に便利なのだが、様々なメーカーから基板が出ているため端子の方向がまちまちで、適応するケースを探すのが面倒、というか拡張ボードを載せたまま使えるケースは数少ない。そんな現状を打破すべく立ち上がったのが、ITジャーナリスト&コラムニスト海上忍氏である。メーカーに働きかけて、拡張ボードの端子方向やサイズなどを決める「ワンボードオーディオ・コンソーシアム」設立のきっかけを作った。
そしてn-A1という規格に準拠した拡張ボードが収まる専用ケースを開発中である。展示されていた試作品のアルミ合金ケースは、非常に精度が高く短辺と長辺のパネルが外れるようになっている。この部分を拡張ボードの種類に合わせて交換する方式である。裏技だが準拠していないボードでも高さが収まれば、サイドパネルを外して端子と接続できそうに見えた。
今回の試作ではアルミの厚さを薄くしすぎて削り出しの有り難みがなくなったため、製品はもっと肉厚にしたいそうだ。ケースは1万円前後でバリュートレードからAVIOTブランドで発売予定である。従来は拡張ボードなしのケースがほとんどだったので、これは貴重な存在である。またこの規格に準拠した各種拡張ボードの発売も楽しみだ。
ブースでは海上氏が開発に関わっている拡張DACボードの試聴も可能だった。DACにTI/PCM5122を採用してVolumio2との組み合わせで384kHz/32bit再生に対応するというハイスペックモードである。2系統のクロック搭載、ラズパイ側への電源供給機能、ゲイン切り替えがあり、出力はφ3.5mmアンバランスとφ2.5mmバランスに対応。ケースとのセットで2万7000円ぐらいで発売したいとのこと。これをケースに組み込めばDMP(デジタルミュージックプレーヤー)が完成する。
同じ「ワンボードオーディオ・コンソーシアム」の規格に準拠したDACボードとしてBrighTone「Terra-Berry2」も5月下旬に2万6500円で発売予定だ。こちらは旭化成エレクトロニクスの最新DAC「AK4490」を搭載してPCM768kHz/32bit、DSD11.2MHzまで対応する。リアルタイムでのPCM/DSD変換機能とアップサンプリング機能を搭載している。また電源切り替え機能があり、ラズパイ側かDAC側、どちらか好きな方から給電できる。出力はアンバランスまたはバランスで、好みの端子を自分で用意して接続する。こちらもケースに収めれば超小型バランス出力対応ネットワークプレーヤーが完成する。
ラズパイオーディオの会ではIoT女子がラズパイ普及活動を実践
DigiFiのブースを間借りしたラズパイオーディオの会では、主催者の座布団さんに加えて、会員1号の宮原徹氏とIoT女子の3人が加わりラズパイの普及活動をおこなっていた。
ラズパイオーディオの会は、メーリングリストを中心に活動中で、全国のオーディオイベントにも参加してラズパイをオーディオ機器として活用する具体的な方法の講座を開催して普及に努めている。今回の展示はラズパイ3(Raspberry Pi 3)と拡張ボードを使ったものと、DigiFi付録のヘッドフォンアンプやDACとの組み合わせで音を出していた。目玉はラズパイ最小サイズのラズパイゼロ(Raspberry Pi Zero)専用DAC拡張ボードで、基板上の物理スイッチでDMP機能を操作できるという優れたものだ。
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