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入り口は声に対する興味だった

小岩井ことりがDAWを始めた、いかにも声優らしい理由は?

2017年05月23日 17時00分更新

文● 貝塚 ヘアメイク●Mika Kikuchi(MKTUB’80) 取材協力 ●OM FACTORY

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声に対する興味が入り口だった!

 「憧れの職業」である声優。アニメのキャラクターに命を吹き込む仕事は人々から大いに注目を集め、特に女性声優たちはアイドル的存在になりつつあり、いかにも華やかな世界だ。

 そんな声優業界で、「DAW※ができる声優」として話題になった人物がいる。「のんのんびより りぴーと」の宮内れんげ役などで知られる小岩井ことりだ。

※デジタルオーディオワークステーション。PCとインターフェース、DAWソフトウェアなどを組み合わせ、PC上で音楽制作ができるようにしたシステムを指す言葉だが、「DAWしてる」など、動詞のように使うことも。

 動画投稿サイトなどとも親和性が高く、ここ10年ほどで一気に大衆性のある趣味になったDAWだが、一定以上のクオリティーの作品を作るには技術を必要とする、「難しい」といったイメージも根強いのではないだろうか。

 小岩井ことりさんは、DAWをはじめたきっかけについて、次のように話す。

「声優になりたての頃に、『自分は何もできないな』という想いがあって。まず色々な声を分析してみることにしたんですよ。それで、調べてみると、DAWを使えば、自分の声のことも調べられるということがわかって……。

 そこで気になる素材を読み込んで、『この声は、なんで悲しく聴こえるんだろう』『息がどれくらい混じってるとスペアナ※のここが盛り上がるんだろう』って研究してみたんです。それで、いろいろな声の波形を調べて、なるべく同じ形になるよう真似したり、真似しても真似ができないものが感情なんだ、ってわかったり」

※スペクトラムアナライザー。縦軸を出力、横軸を周波数帯域としたグラフ

─なるほど! 声優さんらしい独特の入り方で驚きました。しかも理系的なアプローチですね。試してみて、どんな発見がありましたか?

「私の声は特にこもっているというか、落ち着いているというか。キンキンするところが少なめなんだな……と。周波数でいうと、3000Hzあたりが少ないタイプの声なんです。これは声優さんらしい抜けがいい声とは違うんですけど、役柄によって使い分けるのには便利な声質なのだと思っていますね。ボーカルを作る際には、曲調によっては、そのあたりをイコライザーで持ち上げる処理をしています」

─音や声に対する純粋な興味が、DAWの世界に入ったきっかけなんですね

「はい。出発はそこです。今は、もしチャンスがあれば作詞家、作曲家としてもアニメ業界に関われたらいいなぁと思っています」

 コンプレックスともとれる感情から、声に強い興味を抱くところはよくある話かもしれない。しかし、それを分析し、そのためのツールを入手するところに、小岩井ことりの稀有な意志が感じられないだろうか。

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