※週間リスキーはテクノロジーとサブカルチャーの交差点から「ずっと、やんちゃデジタル」な切り口で情報をお届けする、たいへんマニアックなコーナーとなっております。初見の方はご注意ください。
たまに思い出したかのように巡っている海外通販サイトですが、2月あたりに面白いものを見つけました。よくある腕時計型の活動量計で、歩数と睡眠時間を記録できるものです。注目すべきはその価格で、なんと、1000円を切っています。
最近いいニュースを聞かない活動量計界隈
値段の割りに公開されているスペックはまともそう……
活動量計は一時期人気があって、多くのメーカーが機能や価格でチャレンジしていたおもしろいジャンルだったのですが、最近はやや下火気味。
とくに個人向けの製品は、Jawboneが撤退するだの、Withingsがノキアに買収されるだの、明るいニュースが減ってきているように感じます。
腕時計型デバイスの普及に大きく貢献したジャンルだけに、ちょっとさびしいですよね。その代わり、いまはより高性能化したスマートウォッチなどが元気だったりするので、これからもがんばって欲しいところです。
いきなり脱線してしまいましたが、本題の怪しい活動量計へと戻りましょう。「C2 Bluetooth Long Standby Time Smart Bracelet」は、外周ぐるりと12個のLEDが並んだ、どこかで見た気のするデザインが特徴です。
読めない英語を斜め読みしてみると、歩数、睡眠時間なんかがアプリで確認できるっぽいことが書かれています(適当過ぎ)。
スペックを見ると、防水防塵性能はIP65とかなり優秀で、水泳は無理でもシャワーくらいは大丈夫そう。実は、このシャワーが大丈夫というのは付け外しがいらないという面で結構重要で、面倒くさがりの自分には大変ありがたかったりします。
電池は一般的なボタン型電子の「CR2032」で、しかも、6ヵ月の実働と電池交換が面倒ではない点も好感が持てます。
すでにWithingsの「Activite Pop」を愛用してるのでまったく必要ないのですが、ものは試しと1本注文してみました。失敗しても1000円ですしね。
ちなみに、発送通知が届いたのが2週間後で、それから商品が届くまで、さらに3週間ほど待たされました。国際便なのに送料無料という関係上、やたらと届くまで時間がかかってしまうのはしょうがないところです。そんなわけで、手元に届いたときには興味が薄れ、「なんだっけこれ?」と開けてみるまで忘れていたのは内緒です。
衝撃的な「開封の儀」
笑えるという点において非常に優秀
さて、商品が届いて開けた時に衝撃的な出来事があったので、ちょっと紹介しておきましょう。写真では、箱の一部がちぎれていますが、これは開ける時に自分が破ってしまったためです。その点は目をつぶっていただきつつ、再現写真でどうぞ。
いやー、まさか届いた時点でバラバラになっているとは思っていませんでした。さすが、1000円。完全に予想外の状態を見てツボに入ってしまい、しばらくひとりでゲラゲラ笑ってました。
クレームを入れる気が起きないほど笑った後で、なんでバラバラなんだろうと箱をよく見てみることに。トレーには本体がハマる凹みがあったのですが、実際に本体が入っていたのは凹みのない逆方向。凹みがないぶんトレーから飛び出すわけで、そりゃ箱も膨らみますね。この膨らみ部分に力がかかって裏蓋が外れ、バラバラになって届いたのではないかなと予想しました。
余計な力がかかったためか、基板の位置決め用の突起が折れてたりもしましたが、散々笑った後なので些細なことは気にしません。
すでに電源は入って動いているようでしたので、ケースに基板を入れて裏蓋を閉めて試してみることにしました。ちなみに、この裏蓋、パッキンも何もありません。これでIP65というのはちょっと難しそうです。
iOS・Android両対応で睡眠時間も測れる
ただし、睡眠の判定はかなり大雑把
アプリはiOS用とAndroid用が用意されています。怪しい製品ですとAndroid用はapkファイルによる提供だったりしますが、これはちゃんとGoogle Playで用意されているのでちょっとだけ安心です。
今回はiPadで使ってみましたが、これが意外とちゃんとしてるように見えるアプリで、しっかりとしたチュートリアルがあるほか、歩数や睡眠時間を日、週、月ごとに表示を切り替えてチェックできます。
肝心の活動量計としての能力ですが、これが大変いただけない。Withingsの「Activite Pop」と比べ、歩数はだいたい1〜3割ほど少ない感じになっています。
Activite Popも少なめに出るというウワサがあるくらいですから、かなり信頼できないデータと言えそうです。なにより、睡眠時間がやたらと長くなる傾向にあります。ちょっとこちらのデータを見てください。
やたらと寝る方ではありますが、そうそう連続して10時間も寝たりはしません。睡眠状態をよく見ると「深い眠り」と「浅い眠り」以外に「覚めている」というステータスがあるんですよね。藤色の部分がその「覚めている」というもので、上のデータでは、睡眠時間だとされている半分以上がこの「覚めている」状態です。つまり……寝てないじゃん。
どうもこのアプリは夜に動かないと勝手に「寝ている」と判断して、ある程度時間が経たなければ「寝たまま」だと決めつけるようです。
いくら起きて活動していても、デスクワークのようにあまり動かない状態での活動ですと、歩数のカウントが甘いのもあって、寝返り程度にしか見てくれないのでしょう。
そのため、睡眠時ばかりが積み上がってしまいます。ちなみに、このデータにある時間帯はずっと起きて活動していました。つまり、実際の睡眠は0時間。100%間違ってます。
もうひとつ気づいたのが、このアプリが1日複数回の睡眠に対応できないこと。だいたい3時間くらいの睡眠を1日2〜3回とるような生活をしていますが、必ず1回の睡眠にまとめられてしまいました。
ということで、私にとってこの活動量計は完全に使い物にならないデータしか取れないという結論に。毎日規則正しく生活し、体を動かすことが多い人であれば大丈夫そうですけど、それでも歩数は少なめに出てしまうでしょう。
日本語がおかしいのは当たり前
時計として使うことすら難しい
歩数計以外の機能で気になったのが、設定にある各種機能です。日本語が怪しいのはさておき、着信や紛失防止通知、目覚まし、リマインダー、「ふるふるして写真を撮る」など、気になるものがいっぱいあります。
正直、この通知機能にはちょっと期待していました。とくに、Bluetoothの接続が切れると置き忘れたと教えてくれる「知能紛失防止」機能は使えると思ったんですよ。スマホの置き忘れはホントに怖いので、多少歩数や睡眠時間が怪しくても、これだけのために持っててもいいって思います。
ですが、実際はすべて使いものになりませんでした。理由は単純明快で、バイブレーションもアラーム音もなく、盤面のLEDが短時間光るだけという通知なのです。光ったままであればまだ後から気づくこともあるかもしれませんが、ほんの2回ほど点滅するだけですから意味がありません。これで気づけたら奇跡です。
なお、気になる「ふるふるして写真を撮る」昨日は、単純に腕を振るとシャッターが切れるというものでした。試してみましたが結構認識にコツがいるみたいで、手をブンブン振っても反応してくれないことが多かったです。
三脚とかを使う場合には便利かもしれませんが、自撮りですと、やたらと手を振ってる写真がたくさん撮れそうですね。……やはり使えるシーンは限られそうです。
腕時計型だけあって、アプリと関係なく使える機能として時計機能があります。腕をひっくり返すと12個のLEDのうち2つが光り、短針と長針の位置を教えてくれるというもの。
なので、最大誤差が5分位あるのはご愛嬌。時間を知ってれば読み取れますが、時間を知るために読み取ろうとすると、なかなか骨が折れます。
ということで、1000円以下という価格につられて買ってみた活動量計ですが、思っていた以上に機能はあるのですが、完成度はおもちゃレベルでした。
本体にバイブレーション、もしくはアラーム音が搭載されれば、もうちょっと実用性が出てくれそうなだけに、惜しいなー、という感じです。とはいえ歩数や睡眠時間の正確性には疑問点が多すぎますから、多少高くとも、まともな製品を買うのが一番です。
ちなみに、最初から入っていた電池は1ヵ月ももたずに切れました。
※著者および編集部は、技術基準適合証明(技適)を受けていない通信機器の利用を勧めるものではございません。通信機器は各国の法律に基づいて利用してください。各国の法律に反して利用しても、著者および編集部は一切責任を負いません。
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