Samsungがまもなく最新のフラッグシップ「Galaxy S8」を発表すると見られている。Samsungは今のトップシェアの端末メーカーではあるが、スマートフォン市場は動いている。今回はSamsungを取り巻く競合として、Apple、Huawei、Oppoなどの現状ついて、あらためて見ていきたい。
MWCでフラッグシップを発表したHuawei
カメラをキーに勢いは止まらない
MWCが終わったあと、世界中の記者の元にSamsungから米ニューヨークで開催する「Samsung Galaxy Unpacked 2017」の招待状が送られた。ここではおそらく「Galaxy S8」が発表されるだろう。
次期フラッグシップのGalaxy S8は、リリース前から厳しい環境にある。Samsungは毎年2月のMWCにあわせて、最新のGalaxy Sシリーズを発表するのが常だった。だが今年はMWCではタブレットを発表するにとどめ、Galaxy S8の発表をずらした。
繰り返し報道されているとおりに、MWCでは世界シェア3位のHuaweiが「HUAWEI P10」を発表した。発表会は大盛況で会場に入れないジャーナリストも多く、不満も聞かれた。たまたま横に居合わせたCSS Insightのアナリストは、「HUAWEI P10は、世界市場で猛攻をかけるHuaweiにとって後押しになる」とコメントをくれた。個人的にはゲストスピーカーの話よりも、デバイス部門を率いるRichard Yu氏の口からもう少しHuaweiのビジョンが聞きたかったが。
今年はNokiaが携帯電話ブランドとして復活したことから、昔を思い出すことが多かったのだが、Huaweiに限らずカメラがいまだにスマートフォンの重要な要素であることにあらためて気づかされた。HuaweiはP9に続き、P10でもLeicaと組み、フロントカメラもLeicaブランドを採用した。
しかし、かつてはNokiaもCarl Zeissを搭載したモデルを作る(Nokiaブランドの携帯電話を作るHMD Globalが再びCarl-Zeissと組むとも言われている)など、カメラに力を入れていた。現在は自撮り(さらには「SNOW」などのアプリ)、ARなどカメラで遊べるアプリやゲーム(「Pockemon Go」など)が増えている点が違う。このあたりは、iOSとAndroidにはエコシステムがきちんとあることの証だ。
赤いiPhoneで製品寿命を延命
そのHuaweiがこの1~2年で追いつき、追い越そうと狙うのが、現在2位のAppleだ。Appleは3月21日、最新のiPad、それにHIV撲滅に向けた活動を行なうREDと組んだ「(PRODUCT)RED Special Edition」のiPhone 7/7 Plusを発表した。
REDはミュージシャンのBono氏が設立に関わった非営利団体で、AppleもすでにiPod touchやBeats製品でコラボ済み。端末はiPhone 7そのものとわかっていても、知りたい、見てみたいと思わせるのはこの会社ならではだ。
そして、昨年9月に発売したiPhone 7/7 Plusを、別の形で売り出すという販売方法も見事だ。実は2016年に最も売れたスマートフォンは、2015年9月に発売された「iPhone 6s」だった。IHS Markitが発表したものだが、Appleは2016年に売れたスマートホン上位10機種中、上位4位を占めている。1位のiPhone 6sに続き、iPhone 7(2位)、iPhone 7 Plus(3位)、iPhone 6s Plus(4位)と上位を独占している。
上位10機種、4機種がAppleなら、5機種を占めたのはSamsungである。Samsungの場合、フラッグシップのGalaxy SシリーズからはGalaxy S7 edge(5位)とGalaxy S7(9位)が入り、残り3機種はミッドレンジのGalaxy Jシリーズとなった。
IHSは細かな台数を公開していないが、5機種とも2500万台のラインぎりぎりから少し下回る範囲となっている。ここからもフラッグシップを見せつつ、ミッドレンジで台数を稼ぐというSamsungの構図が見える。一方、AppleのiPhone S6とiPhone 7はともにその2倍以上を売り上げており、ハイエンドが売れていることがわかる。Androidは収益が出ないとメーカーが嘆く中、Appleは台数で見た市場シェアこそ15%付近ながら、市場の利益の8割近くを得ていると言われるわけもわかる。
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