ネットワークつながりというと語弊があるかもしれないが、広義にはネットワーク企業としていいと思うのが今回ご紹介するSupra Corporation。ちなみに途中からSupra Inc.という社名に切り替わっている。
おそらく日本でも、1992~1993年頃にAT互換機を使っていたユーザーには懐かしい社名ではないかと思う。というのは秋葉原にこのSupraが大量に入荷した時があったからだ。
PCショップから機器メーカーに大躍進
アタリショックで倒産寸前に
Supra Corporationの前身はMPP(Microbits Peripheral Products)という。同店は1981年、オレゴン州アルバニーで立ち上げられた。共同出資者はJohn Wiley氏とAlan Ackerman氏の2人だが、2人はこの年高校を卒業したばかりである。
大学入学までのわずかな期間を使い、2人は自転車店の裏手に10フィート四方のスペースを借り、そこで小さなコンピューターショップとしてMPPが生まれた形だ。
そんな小さな店だったにも関わらず売上が急速に伸びた結果、1981年秋に2人が大学に入る頃には自転車店を奥に追いやり、MPPが手前に移動するほどだった。
ただ大学とショップ経営は両立できないので、新たにマネージャーを雇って店を任せたところ、程なく売上げが激減して店を畳む羽目になった。
これでへこたれない2人は、1982年のWCCF(West Coast Computer Faire)で6ftのスペースを借りて、彼らがデザインしたAtari向けのプリンターを展示する。1982年のWCCFというのは、WCCF史上もっとも盛況だった時でもあり、これもあってか展示中にトータルで8万ドル分以上の注文を受けるに至る。
ここで2人はコンピューターショップから機器の製造メーカーのビジネスに転換することを決断した。言うまでもなくターゲットはAtariである。そもそもAtari用のプリンターでビジネスを始めたのだからこれは当然であったが、そのAtariの市場は1983年末の「アタリショック」で猛烈な勢いで縮小する。
このあたりの話は連載第358回で解説したとおりだ。ちなみにアタリショックを助長したものの1つに、史上最悪のゲームの呼び声も高い“E.T.”の存在があるとも言われているが、本稿には関係ないのでおいておく。
当然アタリショックにより、MPPのビジネスも大打撃を受けることになり、一時は倒産寸前まで追い込まれつつも、なんとか生き延びることに成功する。Atari向けの既存の製品も引き続き売り続けていたらしいが、ビジネスのターゲットをAmigaに切り替える。
1987年の時点で、同社の主な製品ラインナップは以下のとおり。
Amiga 500向け | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Power PC Board | MS-DOSのエミュレーターボード | |||||
SupraTurbo 28 | MC68000を28MHzで動作させるアクセラレーター | |||||
SupraRam 500 | 1/2MBのクロック付き拡張RAM | |||||
SupraRam 500RX | 8MBのRAM拡張ボード | |||||
SupraDrive | 1MB FDD | |||||
SupraDrive 500XP | HDD及び拡張RAMボード | |||||
Amiga 2000向け | ||||||
SupraTurbo 28 | MC68000を28MHzで動作させるアクセラレーター | |||||
SupraDrive Hard Disk | 52MBまたは120MB | |||||
WordSync | SCSI I/F | |||||
SupraRam 2000 | 8MBのRAM拡張ボード |
正確な日付が不明なのだが、この1987年までに社名はSupra Corporationに変わっている。この社名の由来も不明なのだが、当時の会社の所在地(7101 Supra Drive SW, Albany, OR 97321)にちなんだのではないかという気がする。
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