「いまのガソリン車は、将来的には蒸気機関車のような過去の存在となる。いま現在でも蒸気機関を使うことは可能だが、誰も敢えてやろうとしない。ガソリン車は、そういうものになると思う」とし、「すべての動く乗り物は電動になる。さすがにロケットはテスラでも電動化できるかは疑問だが、それ以外の飛行機やボートも、100%、電気で動くようになると考えている」と語る。
ギガファクトリーの稼働は、そうした新たな世界に向けた一歩だというわけだ。
セルに関する技術では最先端といわれるパナソニック
ギガファクトリーの稼働において、強力なパートナーシップを組んでいるのが、パナソニックである。
パナソニックの津賀一宏社長は「パナソニックはエネルギー密度の高い電池が生産でき、その技術で先頭を走っている。これは、限られた容量で多くの電気を溜めるということであり、適切なサイズのセルを見出し、それらのセルを多く使ってテスラ向けの車載用バッテリーパックを作る。つまり、いま使える技術において最高のエネルギー密度で、リーズナブルなサイズのバッテリーセルを作ることができる。一方でテスラは、多くのセルをうまく使うバッテリーパックを制御する技術を持っている。このコラボレーションによって、世界をリードすることができる」と語る。
マスク会長兼CEOも「パナソニックは電池の中心となるセルに関する技術では最先端である。また革新を行なうのが非常に速い会社であることも評価している。長年培った信頼関係があり、お互いに信頼できるパートナーである。なにか問題が起きたときには、すぐに話し合って解決できる。信頼関係と良い技術を持つことが、パナソニックを選んだ理由である」とする。
一方のパナソニックの津賀社長は、ギガファクトリーが稼働したことについて「安堵感を持つとともに、興奮と感動はとても大きいものがある」とする。
「ギガファクトリーでパナソニックが生産するのは、汎用的な乾電池の生産ではない。クルマを電動化するための電池を生産している。しかも、どのクルマ向けでもいいという観点ではなく、テスラというEV専業の自動車メーカーと一緒の気持ちになって取り組んでいるものである。このバッテリーによって、社会を変えることができる。そこに興奮と感動がある。投資が大きいか小さいかという問題ではなく、世の中を変えることができるのかできないのか。これが我々にとっては最大の興味である」とする。
テスラとパナソニックは、2016年12月にはテスラが持つ米ニューヨーク州バッファロー工場で、太陽電池セルとモジュールの生産を開始することで合意したと発表している。太陽電池モジュールの生産は2017年夏に開始する予定で、2019年までに1GWの生産能力に拡大する予定だ。両社の協業範囲は、EVのバッテリー生産だけに留まらない。
パナソニックの津賀社長は「テスラとの協業は電池が中心だが、マスク会長兼CEOからは、将来の電池をどうするのか、電池以外のさまざまな領域においてもパナソニックと一緒になって深堀できる領域はないか、という点での期待をもらっている。テスラのスピード感に対して、我々もスピード感をもってビジネスの広がりにつなげたい」とする。
全世界から注目を集めるテスラの成長を下支えするのは、パナソニックの技術ということになる。パナソニックはテスラと一緒になって、世の中を変えることに踏み出している。
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