マネージドサービス型でのOpenStack/OpenShift提供を可能にするパートナー施策強化も発表
レッドハットと日本MS、“Red Hat on Azure”強化施策で協業
2016年12月26日 07時00分更新
レッドハットは12月22日、今年度(2017会計年度、2016年3月~2017年2月期)のビジネスの振り返りと来年度に向けた戦略を説明する戦略発表会を開催した。マネージドサービス型での製品提供や、Azureクラウド上でのレッドハット製品活用を促進するための、新たなパートナープログラム展開も発表している。
OpenStack/OpenShiftと“Red Hat on Azure”の新たなパートナー施策発表
同日は、新しいパートナープログラムに関する2件の発表が行われた。
1件目は、「Red Hat OpenStack Platform」および「Red Hat OpenShift Container Platform」のパートナーエコシステム拡充とビジネス促進のため、従来からのOpenStackパートナープログラムを強化するとともに、新たに「OpenShiftパートナープログラム」を開始する内容。いずれも年明け1月からスタートする。
新プログラムでは、顧客からの要望が高まる「マネージドサービス形態でのOpenStack/OpenShift利用(Private Cloud-as-a-Service)」の提供パートナーを増やすために、SIベンダーやISVに対する支援を強化する。具体的には、技術情報や採用事例などの最新情報の提供、技術者トレーニングやインターンシッププログラム、検証センターの活用、各種マーケティング支援などを提供していく。
もう1件は、「Microsoft Azure」クラウドにおけるレッドハット製品の活用促進を目的として、日本MSと共に、日本国内においてパートナー育成プログラム「Red Hat on Azure Partner Network」を提供するというもの。こちらも2017年1月から提供を開始する。
具体的には、Azure上におけるレッドハット製品の活用(“Red Hat on Azure”)を顧客に提案するパートナーを認定(Masterパートナー、Entryパートナーの2種類)するとともに、両社製品/サービスに精通した営業スペシャリスト/エンジニアの育成にも取り組む。パートナーには両社製品/サービスのサブスクリプションを特別価格で提供するほか、統合技術サポートの提供、トレーニング開催、各種マーケティング支援などを行う。加えて、レッドハットからはMasterパートナーの案件サポートを行う専任営業者も提供される。
なお、この両社協業によるプログラムについては「1年間限定」の取り組みと発表されているが、これは「1年間だけで終了する」という意味合いではなく、まずはこの1年間で集中的に施策強化していくという意図だと、レッドハットでは説明している。
マネージドサービス型の製品提供を強化するためのパートナー施策
発表会に出席したレッドハット日本法人 代表取締役社長の望月弘一氏によると、米国本社が発表した最新四半期(2016年9月~11月期)の売上は前年比17%と引き続き成長を続けており、特にアジア地域は前年比25%増と最大の伸びとなった。日本のみの業績は公表していないが、「おおむねアジア地域全体と同様の成長だった」(望月氏)という。
望月氏は今年4月の事業戦略説明会において、2017会計年度は、引き続きOSのビジネス(RHEL:Red Hat Enterprise Linuxのサブスクリプション売上)を土台としながら、OpenStackや仮想化製品の「クラウドビジネス」、SatelliteやCloudFormsの「ITマネジメントビジネス」、JBossやOpenShiftの「アプリケーションプラットフォームビジネス」という成長領域の“3本柱”を伸ばしていく方針だと説明していた。
グローバル全体の最新四半期業績を見ると、この“3本柱”の売上は前年比で33%の伸びとなっている。日本市場においても、たとえばOpenStack製品(Red Hat OpenStack Platform)は前年比3倍の売上となり、OpenStack市場におけるシェアを拡大しつつあるという。
またOpenShift/DevOps関連ビジネスに関しては、この半年間で20社以上の企業に対し、DevOps導入に向けたディスカッションとコンサルティング、支援を行い、「結果として多数のOpenShift Container Platformの実績につながった」(望月氏)。特に、エンタープライズの本番環境におけるコンテナ活用の事例が出てきたことが大きな動きだと述べ、パイオニアが提供するカーナビゲーションサービスの基盤にOpenShiftが採用されたことも発表している。
来る2017年、および2018会計年度について望月氏は、企業を取り巻く環境がデジタル変革時代の「黎明期」から「成長期」へと推移していく中で、オープンソースITを活用してデジタル変革に取り組む企業をサポートしていく方針だと語った。デジタル変革に取り組む顧客企業の例として、すでに今年「JBoss BRMS」を活用したIoT導入を行った旭鉄工の事例を発表している。
なお今回発表したパートナープログラムについて、望月氏は、「顧客は多様なかたちでのプライベートクラウド環境の提供を求めている」と説明し、OpenStack/OpenShift環境をマネージドサービス型で提供するためにはパートナーの力が必要であることから、レッドハットとしてそれを支援するプログラムを用意したことを説明した。「すでに現在、15社のパートナーと具体的なアクティビティを進めている」(望月氏)。
また、日本MSとの“Red Hat on Azure”パートナー支援については、レッドハット製品とAzureクラウドの両方を理解した営業プロフェッショナルやエンジニアが必要とされており、数百社、数百人規模のパートナー育成を図ることで、市場の期待に応えたいとしている。