「ロックイン回避は重要」基調講演にマイクロソフトやスタートアップなどを招き語る
AWS包囲網?HPEホイットマンCEO「Discover London」基調講演
2016年12月21日 06時50分更新
11月末、Amazon Web Services(AWS)が米国で「re:Invent 2016」を開催していたちょうど同じ時期に、英国ではヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が、1万人以上の顧客やパートナーを集めたプライベートイベント「HPE Discover 2016 London」を開催した。
Discover Londonの基調講演に登壇したHPE CEOのメグ・ホイットマン氏は、メソスフェア(Mesosphere)をはじめとするテクノロジースタートアップ、さらにマイクロソフト(Microsoft)などのパートナーを次々とステージに招き入れ、AWSの「ベンダーロックイン」に対抗する“包囲網”を張って見せた。
AWSが市場を開拓し、現在も高いシェアを持っているIaaSは、サーバー、ストレージなどのITインフラハードウェアをを提供してきたシステムベンダーに大きなインパクトを与えている。2015年秋にヒューレット・パッカードの分社化を招いたのも、IaaSが大きな要因だったことは否定できない。
分社により誕生したHPEは、その後もソフトウェア部門の一部売却計画を発表するなど、事業を絞り込んでいる。ホイットマン氏の経営戦略は「事業フォーカスにより、俊敏に動く企業になる」ことだ。
今回のDiscoverにおいて、ホイットマン氏は「ハイブリッドIT」というビジョンを打ち出した。当然、ここにはオンプレミス/プライベートクラウドとパブリッククラウドとを適材適所で使い分けるハイブリッドクラウドも含まれ、パブリッククラウド部分にはAWSやマイクロソフトのサービスを利用する。
中でもマイクロソフトは、HPEが1年前にパブリッククラウド事業から撤退した際に「優先的なパブリッククラウドパートナー」として手を組んだ仲だ。今回のDiscoverでも、マイクロソフトでAzureビジネスを率いるスコット・ガスリー(Scott Guthrie)氏が基調講演に登場し、両社共通の顧客がハイブリッドクラウド環境を実現していくことを支援するため、HPEとマイクロソフトでツールレベルでの統合を可能にしていく戦略を打ち出した。