ビジネスフォン/UC機能をクラウドプラットフォームで提供するメリットを強調
ソフトバンク、法人向け統合コミュニケーションツール「Dialpad」販売開始
2016年12月14日 07時00分更新
米ダイアルパッド(Dialpad)と子会社のダイアルパッド ジャパンは12月13日、ソフトバンクを日本総代理店として、法人向けのクラウド型テレフォニー/コミュニケーションツール「Dialpad」の国内販売を開始した。すべてのユーザーに固有の電話番号が割り当てられ、マルチデバイスで音声/ビデオ/テキストでのコミュニケーションができるほか、グーグル「G Suite」やマイクロソフト「Office 365」、セールスフォースなどとの統合、容易な運用管理といった特徴を持つサービス。
3万5000社以上が採用、「使いやすく、愛される」コミュニケーションツール
発表会に出席した米ダイアルパッドCEOのクレイグ・ウォーカー氏は、同社のミッションについて「世界で最も使いやすく、愛されるコミュニケーションツールを提供すること」だと説明した。「コンシューマー向けのコミュニケーションツールではすぐれた機能が簡単に使えるのに、ビジネス向けのツールはそうなっていない。われわれのミッションは、ビジネス向けにも『最高のエクスペリエンス』を提供することだ」(ウォーカー氏)。
ウォーカー氏は2001年から、VoIPサービスを手がけるベンチャーを複数立ち上げてきた経歴を持つ。1社は米ヤフーに、もう1社は米グーグルに買収され、コンシューマー向けのサービス(Yahoo! Voice、Google Voice)として提供された。こうした経験の中で、ウォーカー氏は「企業の電話システム(ビジネスフォンやPBX)もクラウド化すべき」と考えるようになり、企業ユーザーが求めるワークスタイルの変化も背景として、2015年に現在のダイアルパッドを創業している。
Dialpadは、海外市場ではすでに、ネットフリックス(Netflix)やウーバー(Uber)、ボックス(box)といった新興企業から、フェアチャイルドセミコンダクター、モトローラソリューションズ、フィナンシャルタイムズといった歴史のある企業まで、3万5000社以上の顧客企業を持つ。
その一社であるモトローラソリューションズでは、40カ国、70以上のオフィスで個別にレガシーなPBXを導入し、キャリアも35社に及んでいた。Dialpadの導入によって、このPBXとデスクフォンをすべて撤去したことで、大幅なコスト削減と従業員の満足度向上につなげたという。「電話関係のオペレーションも、もともとは5人のエンジニアがフルタイムで担当していたが、現在は1人がパートタイムで担当するだけでよい環境になっている」(ウォーカー氏)。
「他社のUCやクラウドPBXとは明確に違う」と強調
続いて日本法人プレジデントの安達天資氏が、Dialpadの具体的な機能と特徴を説明した。
安達氏は、Dialpadを一言で表現するならば「モダンビジネスコミュニケーションツール」だと語る。Dialpadでは、音声/ビデオ/テキストメッセージングと、グループミーティング、他社クラウドツールとの統合、そしてクラウドテレフォニーの機能が提供される。
安達氏は特に、Dialpadのクラウドテレフォニーに関しては、他社のユニファイドコミュニケーション(UC)や“クラウドPBX”とは明確に違うことを強調する。具体的には、会社/グループ代表番号の設定、ボイスメール、営業時間外のIVR(自動音声応答)へのルーティングといったビジネスフォンで求められる機能を網羅しつつ、Google Cloud Platform(GCP)を利用したスケーラビリティ、“モバイルファースト”の発想と持続的イノベーション、場所/デバイスを問わず誰とでもコミュニケーションが取れる――といった、クラウドサービスならではの特徴もフルに生かしているためだ。
Dialpadは、Windows/Mac用のネイティブアプリだけでなく、Chromeブラウザアプリ(Linuxにも対応)、iOS/Android用のモバイルアプリ、さらにオプションのデスクフォン(固定電話機)を提供している。ユーザー固有の電話番号(050番号など)を使って、どのデバイスでも受発信できるほか、従業員のディレクトリ(電話帳)を簡単に検索して通話/メッセージ送信できる。
会社やグループの代表番号を設定し、その番号を複数のユーザー(最大25名)に割り当てることも可能だ。代表番号への着信はユーザー全員が受けられるほか、ユーザーが代表番号を使って発信することもできる。また「サポートデスク宛ての通話はすべて自動録音する」といった設定もできる。
ボイスメールでは、録音したメッセージをGCPの音声認識APIでテキスト化する機能を備えており、ユーザーは文字として閲覧したり検索したりすることができる。この機能は日本語にも対応している。
また、同じ相手とのやり取りは、音声/ビデオ/メッセージングがひとつのタイムラインにまとめて表示される。加えて、「G Suite」や「Office 365」「Salesforce CRM」「LinkedIn」との連携によって、その相手に関連するメールやドキュメント、カレンダーのスケジュール、CRMに登録された顧客情報などが表示されるようになっている。
Dialpadへのログインは、独自に設定したID/パスワードのほか、GoogleアカウントやMicrosoft(Office 365)アカウントとのシングルサインオン化も可能。
利用料金は1ユーザーあたり月額800円から
今回、ソフトバンクを日本総代理店として販売を開始したのは、1ユーザーごとに新規の050番号が割り当てられる「Dialpad for 050」。顧客側の宅内機器設置は不要で、インターネット回線を使って利用できる。Dialpadの利用料金(税抜)は1ユーザーあたり月額800円で、別途、ソフトバンクの「IP-One IPフォン」Bプラン(for Dialpad)の通話料がかかる。また、代表番号を利用する場合は、1番号あたり月額500円が追加となる。
また2017年第1四半期からは、03、06など、既存の電話番号(0AB~J番号)を利用できるDialpadサービスも別途提供する。こちらは顧客側にゲートウェイ機器の設置が必要となる。Dialpadの利用料金は1ユーザーあたり月額1300円。
なおDialpadの他社クラウドビジネスツールとの連携について、安達氏は現在のグーグルやマイクロソフト、セールスフォースだけでなく、今後もさらに連携を拡充していくとともに、API公開なども検討していると語った。