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業界人の《ことば》から 第224回

妥協のMacBookから乗り換えも、日本HPのノートPCが売れている

2016年12月06日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「時速300kmを出せるクルマと、120kmしか出ないクルマでは、100kmを出した時の安定感が違う。生産工程も、キャパシティに余裕を持つことで、同じ効果が生まれるはず」(日本HPの岡隆史社長)

 日本HPは今年、東京都昭島市の昭島工場を移転し、東京都日野市に日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパークを開設した。

 日本HPでは東京で生産する「MADE IN TOKYO」を標榜し、昭島工場での生産により、高い品質の維持とともに顧客ごとの仕様にあわせた柔軟なカスタマイズ対応、5営業日という迅速な納品体制を実現してきた。

 日野への生産拠点の移転は、この体制をさらに強化するものになる。

 品質面においてはさらに厳しいチェック体制を確立したほか、85%という世界的にも高いCTO(カスタム・トゥ・オーダー)比率に対応する柔軟なカスタマイズ対応を実現。また納期についても、今後は最短で3営業日で納品できる体制づくりを目指すという。

 新たな生産拠点で作られたPCには引き続き、「MADE IN TOKYO」のシールが貼付されており、東京生産ならではの品質を保証する証になっている。

大量に刷られるMADE IN TOKYOのシール

 実は昭島工場の移転は、数年前から検討されていたものだった。

 昭島工場はもともと物流倉庫として作られた建物を利用しており、1階から4階までのフロア間を部品や完成品が行き来するなど、工場としては運用しにくい状況にあったのは確かだった。4階の部品倉庫から3階の組み立てラインに部品を移動させたり、完成したPCを1階の配送口に移動させたりといった作業のほか、部品倉庫が異なる場所に置かれていたため、そこから部品をトラック輸送で供給するという手間も発生していた。

 またPCの生産に加えて、サーバーも生産しており、今後の拡張にも課題が出ていた。さらに、建物そのものが20年近くを経過しており、各種設備が古くなっていたことも移転を検討するきっかけのひとつになっていた。

 2015年8月には、PCおよびプリンター事業を行なう日本HPと、サーバーをはじめとするエンタープライズ事業を行なう日本ヒューレット・パッカードに分社。こうした動きも、2つの会社が同じ工場で生産することが、必ずしも最適化にはつながらないという判断に至り、移転をドライブしたといえよう。

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