4年に1度の出来事というのは、やはり個人の生活に大きく影響を与え続けるわけで、新しいMacBook Proの話をもう少し続けます。その前にAppleのデザインについて気づいたことを一言二言。
Apple製品で新しいカテゴリを投入する際、驚きや発見があることが多かったです。タッチスクリーンしか搭載しないiPhoneも、9.7インチという絶妙なサイズで登場したiPadも、やはり初めて見たときには驚きがありました。
昨今のAppleの製品からは、こうした驚きや発見がなくなった、とよく聞かれます。確かに、見たこともないようなものはなくなりました。一方で、見たこともないものを使いたいか、そしてそれが使いやすいかという話も問題です。
iPhoneが登場したとき、モバイルデバイスがコンピューティングの主流になると思っていた人は少なかったはずです。米国でも日本でも、iPhoneやそれに類するスマートフォン一色になると思っていなかったわけで。
その点で言えば、今この瞬間を切り取ると、驚くべき形のモノが欲しいわけではなく、電池が長持ちして、薄くて、画面がキレイで、爆発しないスマートフォンが欲しいということだと思います。
iPhoneが出てきてまだ10年しかたっていません。モノの形がほぼ固定化されるタイミングであることを考えると、これ以上何か驚きを求める対象ではない、ということでしょう。
他方、Appleの昨今のデザインからは、強い「マイナスへの興味」が感じられます。
iPhone 7はiPhone 6sと同じデザインですが、物理的なホームボタンとアナログヘッドフォン端子がなくなりました。
MacBook Proからは(従来型の)USB、Thunderbolt 2、充電用のMagSafe 2、SDカードスロット、ファンクションキーがなくなりました。アナログヘッドフォン端子が残され、ファンクションキーがTouch Barとして補完されたのが意外なくらいです。
また、キーボードからは物理的な“深さ”がなくなりました。これはなんとなく、マルチタッチトラックパッドやiPhone 7のホームボタンが感圧式になったことの延長と位置づけていて、物理的な薄さを追求することとともに、深さがないタッチパネルとの体験の接近もあるように思います。
そろそろ1000文字に達するので、本題に入りましょう。
Thunderbolt 3ポートは旅で威力を発揮する
さて、足を引っかけてもMacBookを落下させないためのアイディアだったMagSafe 2。MacBook(黒)で初めてMagSafeを使い始めて以来、通算で5回は助けられています。しかし2015年のMacBookではMagSafe2は採用されず、今回のMacBook Proでもなくなってしまいました。
ただ、その効能はあります。
筆者は実は今、ニューヨークに滞在しています。サンフランシスコに戻る前に、東京とニューヨークの往復をする出張になってしまったのですが、新しいMacBook Pro 13インチを携えての旅です。
出張の時はできるだけモノを減らした方が、忘れたりなくしたり壊したりといったトラブルが減ります。そしてパソコンを使う上で一番困るのが電源アダプタ。
忘れ物が絶えない筆者は、普段持ち歩くカバンに必ず1セットの電源アダプタを入れっぱなしにしておくようになりました。MagSafe時代、予備のアダプタは1万円弱しましたから、バカにできない出費ですよね。しかもケーブルのコネクタ部分が壊れてきたりしてきて、消耗品であることもまた感じさせられるのです。
新しいMacBook Proになって、Thunderbolt 3しかなくなって、若干苛立ちました。だって、壊れた分も含めて、今まで買い足してきたMagSafe 2への投資が水泡となって消えたのですから。
その一方で、じゃあ新しいACアダプタを買い足したかというと、それはNoです。付属してくるアダプタはカバンに入れっぱなしにしておく分で確保し、あとはUSB-Cに対応するUSB充電器で済ませられようになったからです。
ホテルに帰ってくると、他のデバイスとともに、MacもUSB充電器経由で充電できます。USB-Cケーブルを1本くらい買い足した方が良いなとは思いますが、アダプタごと買うよりも1/10で済みますし。
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