高いパフォーマンスを発揮し、価格も安いTLC NANDフラッシュメモリー採用のSSD。TLCの弱点である書き込み性能や耐久性といった面も、さまざまな技術の採用でライトユースでは、不満や不安を感じることなく使えるようになっていると言って良いだろう。
とは言え、日々仕事で使用するPCやノートPCのメインストレージとして使う場合は、不安要素は限りなく減らしたいところだ。
そんなビジネスユースで目を引かれたのが、MLC NANDフラッシュメモリーを採用したKingstonの「SSDNow KC400」だ。今回はその性能をチェックしていこう。
「SSDNow KC400」(以下:KC400)シリーズは、昨年末に登場したSATA3(6Gbps)に対応する2.5インチSSDで、容量のラインアップは128GB、256GB、512GB、1TBの計4モデルを用意。
SSDコントローラーは、NANDフラッシュへの8チャンネル同時アクセスに対応しているクアッドコアコントローラーのPhison「PS3110-S10」だ。TLC採用の安価なSSDの増加とともに、Phison「PS3110-S10」は知名度が上がった感があるが、コントローラー自体はMLC NANDフラッシュメモリーに対応している。
「KC400」シリーズは、そんなPhison「PS3110-S10」とMLC NANDを採用するほか、エンドツーエンドデータバス保護やSmartECC、読み取りエラーに対するSmartRefreshといったデータを保護する機能に対応。
さらに予期しない電源シャットダウンからデータを復旧可能にする電源損失管理機構をファームウェアに備え、重要なデータを保存するビジネス用途のストレージに最適としている。
SSDの信頼性や耐久性の指標となる総書き込み可能容量(TBW)は、売れ筋容量の256GBが300TB、512GBが800TBと、Kingstonのコスパ優秀なTLC採用SSDの「SSDNow UV400」シリーズと比べて、2倍以上のTBWを実現。保証期間も5年間と長くなっている。
パフォーマンスは容量で異なるが、最大シーケンシャルリード550MB/sec、同ライト540MB/sec、最大ランダム4Kリード8万8000IOPS、同4Kライト8万9000IOPSの高速アクセスが可能だ。
SSDNow KC400のスペック表 | ||||||
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型番 | SKC400S37/128G | SKC400S37/256G | SKC400S37/512G | SKC400S37/1T | ||
容量 | 128GB | 256GB | 512GB | 1TB | ||
NANDフラッシュタイプ | MLC NAND | |||||
コントローラー | Phison PS3110-S10 | |||||
シーケンシャル リード |
550MB/sec | 550MB/sec | 550MB/sec | 550MB/sec | ||
シーケンシャル ライト |
450MB/sec | 540MB/sec | 530MB/sec | 530MB/sec | ||
ランダム4K リード |
8万8000IOPS | 8万8000IOPS | 8万6000IOPS | 8万6000IOPS | ||
ランダム4K ライト |
8万7000IOPS | 8万9000IOPS | 8万8000IOPS | 8万9000IOPS | ||
MTBF(平均故障間隔) | 100万時間 | |||||
TBW(総書き込み容量) | 150TB | 300TB | 800TB | 1600TB | ||
製品保証 | 5年間 | |||||
実売価格 | 7200円前後 | 1万1500円前後 | 1万9000円前後 | 3万7500円前後 |
なお「KC400」シリーズは、ほかのKingston製SSDと同じく、2.5インチUSB外付けケースや7mmから9.5mmに変換するスペンサーなどが付属したインストールキットモデルも用意されている。
価格はSSD本体のみよりも若干高くなるが、ノートPCなどへ導入する際は、インストールキットバンドルモデルが狙い目だ。
メタル筐体採用の「KC400」を分解チェック
スペックも価格もなかなか魅力的な「KC400」。まずは恒例の分解作業を実施。コントローラーやNANDフラッシュメモリーなどをチェックしていこう。
分解、パフォーマンスチェックには、実売価格が1万1500円前後となっている容量256GBモデルの「SKC400S37/256G」を使用している。なお、分解時の定番だが、分解するとメーカー保証やショップの初期不良交換は受けられなくなる。