PlayStation VRがいよいよ発売
まもなく待望のソニー・コンピュータエンタテイメント製VRヘッドマウントディスプレー(以下HMD)「PlayStation VR」が発売になるなど、普及に向けて大きく舵を切る「VR」だが、一般的な認知度はまだまだ十分とは言えない。デジタルハリウッド大学大学院教授/日本ウェブコンセプツ代表取締役で、VR技術にも造詣の深い三淵啓自教授に、VRの基礎知識や現状、今後の可能性や課題についてきいた。
三淵教授によれば、これだけコンテンツやハードウェアがローンチされていても、「VRはまだまだ入り口の入り口」にあるという。「VRってよくきくけど何?」という読者にも、「あらためてどういうものか確認しておきたい」という読者にも、ぜひ目を通してほしい。
Q1.VRとはそもそも何?
「Virtual Realityの略です。よく『仮想現実』と訳されますが、『VR』という言葉自体は、五感を刺激して、実質的に現実と同じような感覚を作り出すことを指すものなので、完全な架空のものを指す『仮想』とはすこし違います。五感すべてを再現して、人間の体験を100%再現できる可能性を持ったものがVRなんです。『Oculus Rift』や『PlayStation VR』をはじめとして、HMDタイプの製品が数多くリリースされているので、『VR=HMD』のイメージが定着しつつありますが、HMDはあくまでもVR体験を生み出すデバイスのひとつですね。そういう意味では、まだまだVRは入り口の入り口で、黎明期にあるものということになります」
再確認! 「VR」の重要ポイント3点
1.Virtual Reality(バーチャル・リアリティー)の略語
2.仮想現実と訳されがちだが、本来は、五感を刺激して現実と同じような感覚を作る技術・体系を指す
3.現在の主流はHMDだが、HMDはVR体験を生み出すデバイスのひとつ
Q2.HMDはどういう仕組み?
「PlayStation VRやOculus Rift、HTCの『Vive』やRazerの『OSVR』などさまざまなデバイスが出ていますが、これらの仕組みは基本的には同じです。ゴーグルの部分のディスプレーと頭の動きを連動させて、いかにもその場にいるような感覚を味わえる、というのが主な仕組みですね。『Oculus Rift Development Kit(通称:DK1)』という初期のHMDでは、3軸の動きをトラッキングする仕組みでしたが、『Development Kit 2(通称:DK2)』では、外部に赤外線のセンサーを置いて、頭の位置もトラッキングしてくれるようになりました」
HMDの仕組みをチェック!
1.3Dで見られるゴーグルと頭の動きを連動させている
2.外部センサーを用いて頭の「位置」も検知!
3.最近では、頭以外の位置を検出してくれる製品も
Q3.VRの現状は?
「最近ではコンテンツも追従してきましたけど、HMDタイプのデバイスだけが先行してたくさん出てきました。理由としては、構造がすごくシンプルなので、スマートフォンを作れるメーカーなら作れるはず、だからです。対して優れたコンテンツを作るにはお金も時間もかかります。『Steam(主にPCゲーム向けのゲーム配信プラットフォーム)』などでもたくさん配信されていますが、まだまだ玉石混淆なんですよね。『え、この内容でこの金額?』みたいなものもたくさんあったり(笑)。でも、大手のメーカーさんも内部的にはすでに開発に手をだしているはずですよ。
それから、Unityではアセット(3Dモデルのオブジェクトに加えて、機能拡張プラグインやプロジェクトのテンプレート的なものなど、ゲーム内で使用する部品にあたるもの)を売り買いする「アセットストア」というものが用意されていて、これを利用すると気軽にコンテンツを制作できるので、そういうハードルの低さはすごくいいなと思っているんです。私の友人の小学5年生のお子さんが、『Unityをやってみたい』と言って、家のPCにUnityをインストールしたらしくて。その1週間後には飛行機を飛ばして遊んでいたそうですよ」
VRの現状はどうなってる?
1.HMDは充実してきた
2.コンテンツも多数リリースされているが、玉石混淆
3.コンテンツ制作のハードルが低くなってきている
Q4.VR普及への課題は?
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