基本的に筆者は“無線通信”なるものを今でも心の底からは信用していない。たとえば、自宅のネットワークにおいても、家族は全員Wi-Fi通信だが、筆者は原稿を書いたり、企画案を考えたり、そのほかの仕事に使うパソコン(昨今ならゲーム機としての存在意義しか無さそうなデスクトップパソコン)は有線LAN接続だ。
“有線ネットワーク”と“(ケーブル)直結”が大好きな筆者はPC同士も、PCとスマホ、PCとデジカメ、スマホとデジカメも基本的には有線直結志向だ。
しかし、すでに手元のスマホやタブレットでの撮影写真は自宅のWi-Fi経由で1GBの容量を契約したDropboxに自動アップロードしている。予想に反して大きな問題もなく、多少の時差でほぼ間違いなくすべての写真がアップロードされているようだ。
PC同士やスマホやタブレットとパソコンのファイル共有はクラウドサービスの進化で極めて楽に正確になったが、デジカメの撮影画像ファイルのPCやスマホ、タブレットでの共有関係は最も進化に時間のかかった印象がある。
何年か前に、技術的には画期的な「Eye-Fiカード」が登場し、筆者も二世代ほどお世話になったが、同じ頃登場したクラウド(Dropbox)デジカメであるSamsungの「Galaxyカメラ」の便利さとは大きく可用性や確実性に差があったと思っている。
しかし、あくまでスマホDNAのデジカメであるGalaxyカメラは、いつまでもカメラそのモノの機能進化が望めないまま、後続機種が登場せずちょっと残念な結果に終わった商品だった。
そこでGalaxyカメラとEye-Fiカードはしばらく使用は休止し、結局、デジカメの撮影画像は、ここ数年、SDメモリーカードやmicroSDカードをカードリーダー経由やUSBポート直挿しで凌いできた。
クラウド時代にあって、この手の前時代的な手段の中でも最高にクールなのは、iPhoneやiPadにデジカメのSDメモリーカードの画像を一気に読み込んでくれる「Lightning―SDカードカメラリーダー」だ。
専用アプリ不要で、SDメモリーカードをこのリーダーに挿入して、ケーブルの先のLightningプラグをiPhoneやiPadに接続さえすれば、すべてのデジカメ画像を自動的に吸い上げてくれる。
何年かに一回、筆者はさまざまな理由から、有線か無線か?で悩むことがあるが、今までは結局のところ有線が無線より常に勝っていたのが実感だ。
しかし今年になって知人が販売開始当初から使っていた「Transfer Jet」と呼ばれる近接無線通信対応アダプターが急に気になりだし衝動買いしてしまった。
近距離で高速通信を行なう「Transfer Jet」
購入したTransfer Jetは、東芝製の「Transfer Jet USB/MicroUSBアダプタ」と「Transfer Jet搭載SDHCメモリカード」の2つ。デバイスとしては3つになる。
Transfer Jet USBアダプターは標準USBポートを持つパソコンを高速ワイヤレス化して、同じTransfer Jet規格のほかのアダプターと高速無線通信を行なうものだ。
MicroUSBアダプターは、microUSBポートを標準的に持つAndroidスマートフォンに使用する。
Transfer Jet搭載SDHCメモリカードは、感覚的には従来のEye-FiカードやFlashAirカードなどと類似しているが、理論上の無線転送の最大実効レートが375Mbitという高速無線を実現しているところ大きな特徴だ(中心周波数4.48GHz)。
残念ながら、今やスマホの標準的無線通信と認知されているWi-FiやBluetoothと比較すると、通信距離は数mはおろか、たったの数cmと楽しくなるくらいの短い飛距離だ。一般的な感覚は“超高速だけどまったく飛ばない無線”といったところだろう。
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