佐土原ナスが食べられるのは塚田だけ新メニュー7/13スタート
おじさんがハマる塚田農場に希少な「ナス」が登場!人気の秘密は浴衣女子だけじゃない
2016年07月12日 12時50分更新
塚田農場を運営するエー・ピーカンパニーは7月13日から、「佐土原ナス」を使った期間限定メニューを投入します。新メニューが食べられるのは、日南系の店舗。塚田農場は、宮崎県日南市(宮崎県日向市)、鹿児島県霧島市、北海道新得町の3バージョンがあり、それぞれメニューが異なります。ちなみに山内農場は、運営会社も異なり全然カンケーないので、間違えて行っても佐土原ナスは食べられませんよ。
「佐土原ナス」というのは、江戸時代から宮崎地方を中心に親しまれてきた伝統野菜だったのですが、生産効率や見栄え重視の近代農業が主流になるにつれて作り手がいなくなってしまった品種だそうです。2000年に、農業試験場に保管されていたたった4粒の種からの発芽に成功し、栽培が再開されたとのこと。
ワタクシは、実際にメニューの内覧会に参加して実物を見たのですが、スーパーなどで売られているナス(中長なす)に比べると、かなりデカイです。特徴としては、皮や実が柔らかく、アクも少ないので生で食べられるレベルとのこと。また、加熱するととろっとした食感になるのが特徴のようです。
エー・ピーカンパニーは、この佐土原ナスの栽培を手がけている「佐土原ナス研究会」と2013年から契約取引をスタートし、今年で3年目になるとのこと。今回、塚田農場が期間限定メニューとして提供するために、約4万本を買い取る契約を結んだそうです。残りは主に地元で消費されるため、宮崎県外で佐土原ナスを食べられるのは塚田農場だけというわけです。ちなみにこの佐土原ナスは、自家採種で栽培されています。栽培した佐土原ナスの一部は収穫せずに熟すのを待ち、種を取って次の栽培用の種として使うという方法です。自家採種による栽培を続けていくことで、作物が土地になじむようになるとのことでした。
新メニューとしてラインアップされるのは、「バター醤油焼」「丸々一本焼きびたし」「宮崎流ビーフタコス」の3品。
バター醤油焼は、縦半分に切った佐土原ナス0.5本をアルミホイルに載せて焼いたシンプルな一品。バター醤油の風味はハズレなしなんですが、これが佐土原ナスのジューシーさと非常にマッチしていました。フツーのナスはこういう感じにはならない。価格は480円(税別)。
丸々一本焼きびたしは、その名のとおり佐土原ナス1本を使います。ナスをじっくり網焼きして、中まで熱が通ったら外皮を向いて出汁に3時間程浸け込んでから提供されます。こちらも佐土原ナスのジューシーさが際立つ一品でした。価格は650円(税別)。
宮崎流ビーフタコスでは、佐土原ナスはちょっと脇役。宮崎産の黒毛和牛の挽肉を使ったタコスソースと佐土原ナスやトマトが入ったサルサ、アボカドのディップが、トルティーヤに盛り付けられている一品。肉も野菜も食べられるヘルシーなメニューですが、ソースやサルサには味が付いているので、これだけでも酒のツマミとしていけますよ。価格は650円(税別)。
エー・ピーカンパニーの流通本部 青果担当の佐々木一信氏によると、塚田農場では形や大きさが整っている佐土原ナスを選別して仕入れているわけではなく、大きなものは焼きびたしなどのメニューに、大きさが足りなかったり曲がっているものはサルサなどに使うなど、用途に合わせてきちんと使い切っているそうです。後述する地頭鶏と同じですね。
同社企画本部 商品企画開発部の川島直之氏は、内覧会で新メニューの調理を担当。バター醤油焼きと焼きびたしでは、佐土原ナスと一般的な中長ナスの食べ比べができたのですが水分量の違いからか同じ調理方法でも佐土原ナスが圧倒的にジューシーでした。
さて、塚田農場といえば鶏肉の炭火焼きですね。日南・日向バージョンでは地頭鶏(じとっこ)、霧島バージョンでは黒さつま鶏、シントクバージョンでは新得地鶏が使われています。加えて、霧島バージョンの塚田では黒さつま鶏を店舗で捌いているそうです。
塚田農場(エー・ピーカンパニー)で扱う鶏肉は、雛(子会社)から養鶏(生産者)、加工(子会社)、販売(店舗)まで一貫生産しており、中間流通のコストカットを実現しているとのこと。いわゆる6次産業モデルを推進することで、生産者所得の安定的な向上を目指しているそうです。また、生産した鶏はもも肉や胸肉だけでなく全部位を使っている点にも注目です。現在のグランドメニューに入っているレバー系料理はその一例で、一羽から多くの量が取れない部位などは季節メニューなどに組み込んで余すところなく使うそうです。
内覧会では、お通しなどで見かけることが多い「虹色ピーマン」の紹介もありました。佐々木氏によると、グリーンの状態のときに取り切れないピーマンは、見栄えの問題で流通に乗せることが難しく、これまでは農家で消費していたそうで、これを生かす方法を考えたとのこと。ピーマン自体は「ちぐさピーマン」という品種で、通常のピーマンの平均糖度が3度ほどなのに対し、6度と高糖度なのが特徴です。「虹色ピーマン」では、一部が赤く熟してから収穫するので、モノによってはフルーツトマトと同糖度の9度の場合もあるそうです。現在はお通しにときどき入る程度ですが、過去には、虹色ピーマンを使った「明太餅チーズ」や「焼きびたし」などのメニューも出していたそうです。