6月28日、クラウド型のERPを提供するワークデイは、国内における事業戦略について説明。国内における導入ユーザーが325社に拡大したと発表した。2015年1月には150社であったことに比較して、わずか1年半で2倍以上に増えているという。
1000名以上のグローバル企業をターゲットにし、認知度を向上
ワークデイの金翰新社長は、「わずか1年半でこれだけの成長を遂げた企業はないのではないか」と前置きし、「2015年1月に、国内事業を本格化する際に、従業員1000人以上のグローバル企業をターゲットに展開した。本来ならば中規模企業でパイロット的に導入をするものだが、名前が浸透した大企業に導入することで、日本における認知度を高め、ビジネスを加速できると考えた。また、日本の著名な企業において導入実績があがれば、本社に対して日本法人の存在感をアピールすることができる。その戦略は正しかったと判断している」と、この1年半の取り組みを振り返った。
注力分野として、医療・医薬、小売・流通、金融、製造、サービスを掲げ、さらにグローバル企業にフォーカス。日本では、日産自動車、日立製作所、ファーストリテイリング、東京エレクトロンなどに導入されている。 金社長は、「日産自動車は、日系グローバル企業として、初めてWorkdayが本稼働した案件である。日産自動車および日立製作所は、経済産業省の攻めのIT経営銘柄にも選定された。また、海外企業の日本法人での導入も促進されている。製品そのもの考え方や技術、ワークデイが持つフィロソフィが、グローバル化する時代において最適なものになっているのが要因」とした。
さらに、「日本だけでビジネスを行っているドメスティックな企業にもWorkdayが導入されている。人事制度が特有である日本の企業においても、Workdayが活用できることを証明したともいえ、そこにも自信を持つことができた。当社は、あくまでもグローバル企業を対象にした展開を中心に進めるが、日本の企業に対してもベストマッチするソリューションとしての提案ができると考えている。日本の企業にも導入ができ、さらにグローバル対応している部分では、日本のERPベンダーの製品に比べても優位性を発揮できる」と、Workdayの強みを訴求した。
また、2016年6月29日にガートナーから発表されたマジッククアドラントでは、中堅・大企業向けクラウド・ヒューマン・キャピタル・マネジメント・スイート部門において、最上位の位置づけとなり、「業界からも高い評価を得ていることが裏付けられた」などとした。
一方で、本社も大きな成長を遂げていることに言及。社員数は、約3700人から約6200人に増加。顧客数も700社以上から1100社以上に増加した。さらに、顧客満足度も97%から98%へと1ポイント拡大。「本社の発表では、2016年1月期決算で、11億6000万ドルを達成。前年比48%増という成長を遂げた。日本をはじめとするアジアパシフィック地域では、それ以上の成長機会があると見ており、2倍、3倍といアクティブな数字を目標にしていく」と述べた。
Workday 26ではダッシュボードとスコアボードを追加
一方で、Workday 26と呼ぶ今年4月のアップデートで追加された機能などについても説明した。
Workday 26では、「ダッシュボード」と「スコアボード」などの機能を追加。豊富なインサイトの取得、活用を提供することで、意思決定を強力に支援できるという。
スコアカードでは、Workday 25では14個だったメトリックを、Workday 26では30個に増加。採用品質や重要な後継者育成プラン、休暇取得率などの指標を標準的に利用できるようになった。「人材管理を中心とした指標を増加させており、どんなパフォーマンスが発揮できるのか、どこから採用すればパフォーマンスが高いのかといったことも管理できる」(ワークデイ プリセールスマネージャの小澤宏氏)という。
また、オポチュニティグラフでは、次に進むべきキャリアをイメージできるように、お勧めの職種を提示。社員同士のエンゲージメントを強化することにつながるという。また、リテンションレコメンデーションでは、機械学習エンジンによって、推奨される職務プロファイルを5つまで表示。推奨される職種に募集がある場合には、ブラウザから直接応募するといったことも可能だ。そのほか、新たな機能として、複数階層にまたがるメリット給、賞与、株式などを統合管理。さらに、画面上に自社のロゴを入れる機能を追加したり、プロダクトツアーとして画面操作をカイドする機能も設けた。
小澤氏は、「Workday 26では、ワークデイコミュニティのBrainstormをもとに開発、採用された機能が208個にものぼる。とくにインサイト機能を強化したのが特徴で、これ以外にも多くの機能強化が行なわれている。Brainstormのほかにも、日本語SIGと呼ばれるユーザーグループを通じて、日本に特化したナレッジを共有したり、ディスカションを行う場を設けている。さらに、Advisory Councilsを通じて、日本のユーザーが集まって月1回ミーティングを行ない、製品への意見や改善要望を集めて、反映する場も設けている。これまでに5回開催した」という。
2016年9月に予定されているWorkday 27では、ExcelやGoogle Docのようなワークシートを、Workdayのセキュアなテナント内で利用できるようにするほか、モバイル対応やコラボレーション機能の強化が行なわれるという。
なお、同社では、日本における会計機能の提供については、「近々、発表できるだろう」とし、「会計の製品を市場投入するために、プロダクトマネジメントの人材を採用している」ことを明らかにした。