ラジオ聴取に最適化されたスピーカー
筐体が縦長なので、スピーカーはモノラルのように見えますが、実は45mmのスピーカーが2基、ハの字型にマウントされているステレオ仕様。FMやBluetoothのステレオ音源も、左右チャンネルにしっかり分けて再生します。臨場感満点とは言わないまでも、空間的な広がりはそれなりに感じられます。
アンプはデジタルで、ACアダプター接続時の出力は2.5W+2.5W、バッテリー駆動時は1.5W+1.5W。決して大迫力とは言えないものの、必要にして十分な音量。なによりアナウンサーの声が聴き取りやすく、ラジオとして非常に好ましい音質です。エンクロージャーはバスレフ構造で、低域もちょっとは頑張っていますが、その出しゃばり過ぎないところがいい。
UIに若干の難点はあります。AM/FMの選択、選局の際には機能切換ボタンを押し、ジョグホイールでメニューを選択するのですが、そのメニューが結構早い時間で消えてしまう。なので機能切換ボタンを押したら、焦ってジョグホイールに手をかけなければならないのですが、そのジョグホイールが滑りやすい。
一度選局してしまえば、お気に入りボタンに5局まで登録できるので、ジョグホイールで選局する場面はほとんどなく、使い始めてしまえば気にはなりませんが、見た目のお茶缶感を裏切って、若干ジジババにはつらい仕様になっています。
もうひとつ難があるのは、AMラジオの放送を聴くのに、FMのロッドアンテナを伸ばさなければならないこと。FM放送を聴くのだから当たり前なんですが、その度にAM放送は将来どうなってしまうのか、ちょっと考えてしまうことくらいでしょうか。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ
