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人工衛星「だいち」が遺した300万枚から

地形は語る!全世界を網羅した高精細3D地図のインパクト

2016年06月23日 07時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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「見る3D地図」から「使える3D地図」へ

 NTTデータが担当したのは、約300万枚の衛星画像を3Dモデル化し、世界地図としてつなぎ合わせるプロジェクトだ。

 だいちの衛星画像には、地表の3次元座標値が正確に記録されているため、水平位置と高さが記録された「数値標高モデル(DEM)」を作成できる。さらに地形の歪みを除去して正しい位置情報を付与した「オルソ画像(正射投影画像)」を組み合わせることで、色鮮やかな3Dモデルが完成する。

3Dモデリングの流れ

アメリカ・サンアンドレアス断層の3D地図(DEM)

衛星画像を重ね合わせた鳥瞰図。この岩肌の鮮明さが5m解像度ならでは

 それを全世界のエリアに対して行っていくのだ。衛星画像から特徴点や共通点を見つけ、パズルのようにつなぎ合わせていく。しかも「5m解像度」ということは、5m間隔でピースを埋めていくということ。気の遠くなるような話である。

 「だいちの衛星画像は前からあったわけですが、これまで活用されていませんでした。それが何故いまになって3D地図に活用できたかというと、そこがまた面白いところなんですが、この約300万枚の写真、容量にすると3PB~4PBもあって、2010年当時は3Dモデリングするだけの技術もリソースもなかったんです。ところがその後、ビッグデータ処理技術が登場して、現実的なコストと時間で解析が行えるようになった。それが今回のプロジェクトが実現した背景です。単なる衛星画像が3D地図に変わっていくのですから、技術的にも面白いプロジェクトでしたよ」(同氏)

 とはいえ苦労も多かった。

 「撮影された衛星画像は地球8周分。同じ地点でも違う角度で複数枚撮影されているので、まずは画像認識を使って、特徴点や共通点から同じ場所のものを特定します。例えば、10枚同じ場所のがあったら平均処理して、少しでも正確なデータにしていく。それを5m間隔で全世界分やるわけです。例えば、砂漠や南極は似たような特徴ばかりですし、森林は植物が成長するので逆に特徴がどんどん変わってしまう。そんな時は専門家の判断も加えつつ、画像認識に独自のアルゴリズムを加えながら、地道な作業を続けました」(同氏)

 それでもわずか2年間で全世界の整備が完了したのは、ひとえにICT技術の飛躍的な進歩と、NTTデータやRESTECのノウハウの賜物だ。実は、2014年にサービス提供を開始すると同時に作り始めたらしく、ニーズの高い発展途上国などの地域から地図化を進めたという。

 ともあれ、2016年4月に無事完成した。その社会的意義は、Google Earthと比べると理解しやすいかもしれない。それぞれの違いを尋ねると「Google Earthは見て楽しいですよね。ただ、正確な高さなどはわからないので、産業用途には利用できないんです。私たちの目標は、業務用の地図を提供すること。例えば、土砂災害で地形がどう変わったか、3次元標高値が正確に分かれば、状況が細かく把握できます」との回答。「見る3D地図」から「使える3D地図」へ――そんなコンセプトを掲げているそうだ。

 では、具体的にどう「使える」のか。

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