HDR対応と非対応の差はどれくらいある?
パナソニックの2モデルを比較
今度はパナソニックのTH-43DX750とTH-40DX600を見てみよう。前述のように、DX750がIPS方式で、エッジ型バックライト+エリア制御、DX600がVA型でエッジ型バックライトという違いになる。
ただし、パネル方式の違いというよりもHDR対応と非対応の違いが大きいだろう。まずは通常のBDソフトで画質を見てみたが、DX750の方がより明るい印象となる。これはやはりHDR対応ということでバックライトのLEDパワーがより高くなっているため、画面全体が明るい印象になるのだろう。
画質的な差異はDX750とDX600で際立った差は感じなかったが、DX750の方が明るいために色の再現性なども優れていると感じやすかった。これはもちろん、色再現性を高める「ヘキサクロマドライブ」を採用し、色域も最新の「BT.2020」規格に対応しているといったハードウェア性能の差もある。
そして、いよいよHDR映像を比較してみる。テストに使用したのは、国内用としては第1弾となった「4K夜景」。国内でもUHD Blu-rayの映画ソフトがもうすぐ発売となるが、映画はHDR制作された作品はまだなく、後処理でHDR化することもあって作品によって質にばらつきはある。
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その点、本ソフトはHDR対応のカメラで撮影された作品であり、映画というよりテレビ的な画作りとはいえ、HDRの実力を確かめるにはこちらの方が違いがわかりやすい。
DMR-UBZ1に限らず、UHD Blu-ray規格では接続したテレビに応じて最適な映像に切り替える機能を持っている。つまり、4K+HDRの映像だからといって対応していない4Kテレビでは表示できないということはなく、再生機器側では自動的に従来の映像ダイナミックレンジに変換する。
これについては、フルHDテレビを接続した場合でも同様で、フルHDにダウンコンバートして出力される。HDMI接続が可能なテレビを使っていればUHD Blu-rayソフトの再生は可能というわけだ。
だから、DX750の場合はUHD Blu-rayの再生時に画面に「HDR(ハイダイナミックレンジ)出力」と表示されるし、DX600の場合は「ダイナミックレンジ変換出力」と表示され、映像も明らかに違う。
DX600でも十分いいが
DX750だと感心するほどの画質に!
4K夜景で見比べてみると、DX750では夜の街のネオンや照明のまぶしい感じがよりリアルに再現されるし、日中の街並みや陽光のまぶしいばかりの輝きがしっかりと再現される。
一方、DX600はそうした高輝度の再現がやや弱まってしまう。夜景の街灯やビルの窓の光り方の微妙な違いが出るなど、HDRっぽい感じはあるのだが、強い光の再現などは再生機器側で抑え込んでいるのだろう。
明かな落差を感じるかというと、案外それほどでもなく、色の豊かさや4Kソフトの精細感の高さはしっかりと感じられるので、思ったのど物足りなさは少ない。UHD Blu-rayの4K解像度や色の豊かさはHDR非対応のテレビでも十分に良さを感じられる。
ちょっと4Kテレビの話題から逸れてしまうが、HDR非対応のテレビだからといってUHD Blu-rayを切り捨ててしまうのはもったいないと思った。再生できる機器も高価なDMR-UBZ1だけなので慌てる必要はないが、ソフトはUHD Blu-rayを選ぶようにしていいだろう。
また、DX600でUHD Blu-rayを再生する場合、DMR-UBZ1側の再生メニューでダイナミックレンジ変換の具合を微調整することもできる。HDRのダイナミックレンジを圧縮して出力するわけだが、その圧縮の度合いを明るさ寄り/暗さ寄りに加減できる。より明るさが欲しい場合や暗部の再現を高める場合なども好みで対応できる。
HDR非対応のDX600でも十分にUHD Blu-rayを楽しめるというのは間違いないが、HDR対応のDX750では、それ以上の映像が得られるのは間違いない。
個人的に感心したのは、日中の強い日差しの感じが見たままに近いリアルさだったこと。夜の街でもネオンが路面を照らす感じまで生々しく再現された。ビル街の窓の奥の照明が部屋によって赤みや青みを帯びているといった違いもよく出る。
この感じは今までの映像では得られなかったもので、HDRコンテンツの増加に期待したくなる。HDRコンテンツの制作もよりその良さを活かしたものが増えていくのは間違いないので、予算に余裕があるならば、HDR対応のモデルを選ぶのが当然ながら正解だ。
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