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カスタム水冷導入完全ガイド 第1回

カスタム水冷で自作PCを鬼冷却&ドレスアップ!【準備編】

2016年05月21日 12時00分更新

文● 藤田 忠 編集●北村/ASCII.jp

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 CPUの冷却強化やビデオカードの水冷化を狙って簡易水冷から、カスタム水冷にステップアップするユーザーなど、導入している人がそれなりにいたカスタム水冷。

 最近では、古くからPC向け水冷キットを販売しているThermaltakeから、久しぶりにカスタム水冷パーツ「Pacific」シリーズが登場したほか、水冷化した同社の魅せるPCの展示や、海外の水冷Mod PCなどが増え、注目度がアップしている。

 そんなカスタム水冷の基礎知識から、導入や組み立て時の疑問、各種水冷ヘッドの取り付け、アクリルチューブを使った配管など、カスタム水冷についてのさまざまなことをお送りしていこう。

さまざまなメーカーから登場しているラジエーターや水冷ヘッド、ポンプ、チューブなどを自由に組み合わせられる

自由自在に組めるのがカスタム水冷の魅力

 まず1回目となる今回は、カスタム水冷の魅力や基本を語っていこう。カスタム水冷の最大の魅力は、その自由度の高さ。空冷と同じく環境温度を下回ることはないが、水冷の冷却性能の要となるラジエーターの大きさや数次第によっては、CPU+ビデオカード×3などのハイエンド構成を余裕で冷却できる。

 そのうえ、低速回転ファンの使用を想定したラジエーターと、低速かつ静圧のあるファンなどの組み合わせ次第で、冷却と静音性の両立も可能。ただ、“水冷=静音”というわけではない点は忘れないでほしい。

 また、水冷は熱をラジエーターへ移動させ放熱する仕組みのため、ラジエーターをPC外部に設置できる。部屋のクーラーにラジエーターを取り付けてトコトン冷やしたり、巨大なラジエーターで、ハイエンド構成をファンレス運用したりといったことも可能だ。

 そのほか、見た目にこだわる、小型PCを水冷化するなど、パーツの組み合わせで、自分の“こうしたい”を実現可能だ。

2013年にオリオスペックで販売された全高約1mの巨大タワー型ラジエーターのaqua computer「airplex GIGANT 3360」。現在もaqua computerで販売中だ

本体内部は空洞で、4面に840mmサイズのラジエーターが設置されている

ガルパンでおなじみのドイツ”ティーガⅠ”を模した、元パーツショップ店員M氏の手による戦車PC。背面の水路(アクリルパイプ)やリザーバータンク×2基でエンジン部の排気管などを表現か!?

リザーバータンク内を冷却液が螺旋に流れるFrozenQの「LF Reaction 250mm Reservoir BYO」。映画「バイオハザード」のウィルスケースを模している。MOD PC盛んな海外ならではの製品で、約110ドルで販売されている

カスタム水冷で強力冷却

 カスタム水冷の気になる冷却性能と静音性。2年ほど前に組んだCore i7-4770KとGeForce GTX 780 Tiを水冷化したPCの温度と騒音値を参考としてまとめた。なお、負荷テストにはOCCTのCPUとGPUテストを使用している。

 冷却の要となるラジエーターには、360mmサイズのHardware Labs「Black Ice Nemesis 360GTS」を使いNoctuaファン×3基を搭載。スロベニアにある鉄板水冷パーツメーカーのEK WaterBlocks製水冷ヘッドや定番ポンプのドイツLaing製「D-5」(OEM品)などを使用している。

水路はポンプ→GPU→CPU→ラジエーター→ポンプとなっている

OCCT実行時のCPU温度(単位:℃) ←better

OCCT実行時のGPUとCPUの最高温度(単位:℃) ←better

負荷時のシステム最大騒音値(単位:dBA) ←better

 空冷時のCPUとビデオカードのクーラーは、あまり冷却性能、静音性が高くないインテル純正とNVIDIAリファレンスクーラーを使用しているのもあるが、水冷は圧倒的な冷却性能を発揮。

 1コアだがCPUにも90%程度の負荷のかかるGPUテスト時も、CPUがしっかり冷却できている点に注目。冷却液はGPUを通ってからCPUに流れるようになっているが、CPUの最高温度は空冷時とほぼ同じになっている。

 システム全体の騒音は、ビデオカードのクーラーが、昨今各社の主流となっているオリジナルGPUクーラーではないため、参考程度に見てもらいたいが、空冷時から4dBA程度ダウンした37.1dBAを記録している。ラジエーターファンやポンプ、PCケースなどで異なるが、カスタム水冷で静音性重視を狙えるのがわかるだろう。

カスタム水冷はデメリットもある

 さまざまな魅力があるカスタム水冷だが、導入の難易度とコストが高くなっている。

 難易度はマザーボードやビデオカードの基板デザインにあわせた専用水冷ヘッドや、ラジエーターだけでなく、ポンプやリザーバータンクの搭載スペースを備えるPCケースなどの登場により、カスタム水冷初期の1990年代後半と比べれば、かなり下がっている。

 とはいえ、水冷パーツの入手性が悪い、水冷パーツ選びや組み立て手順の参考例が少ない(相談できるところが少ない)、水漏れ→PCパーツ破損(有償無償を問わず、修理不可なこともある)の可能性がある、メンテナンスが必須といった水冷ならではのハードルは依然として残っている。

 コスト面はCPU水冷ヘッドや240mmラジエーターなどの基本的な構成なら、3万円を見ておけば余裕で組めるが、GPU、マザーボード(VRM、チップセット)の水冷化や、アクリルチューブ配管など、こだわりだすと、気がつくと総額が10万円を超えていたなんてこともある。

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