IoT&H/W BIZ DAY by ASCII STARTUP 第16回
アスキー主催のイベントで発表されたIoTスカラーシップの中身
あとは作るだけ!さくらとインテルがIoT開発のすべてを揃える
2016年03月29日 09時00分更新
「簡単にプロトタイピングできることは重要」
続いて、さくらのIoT Platformの技術的な説明だ。今まではスマートフォンの無線LANやBLE(Bluetooth Low Enegery)を使って、アプリからデータを上げていた。そのため、100円くらいのマイコンにも関わらず、汎用のTCP/IPやHTTPなどでインターネットにデータを送る必要があった。これに対して、さくらのIoT Platformではセンサーで用いられているI2CやUART、SPIなどのプロトコルで接続し、インターネットや閉域網を意識せず、データを送ることができる。「開発者は、データを送れば、TCP/IPやHTTPなどを意識せず、インターネットやデータを溜めるところを考えないでも済む」(江草氏)。
外部からデバイスを制御するのも容易。「弊社ではHTTPのAPIだけ用意します。認証といっしょにAPIにデータを送ってもらえれば、外部のデータがきちんとデバイス側に届きます」と江草氏は語る。シンプルなIoTデバイスを作るにも、クラウドでさまざまな開発が必要になる現状、Web開発に知見のないハードウェア開発者の悩みなどを打破すべく、面倒なところはさくらに任せられる。「データをやりとりするところは根本的にはどれも同じなので、データのやりとりや通信や過去のデータの検索などは弊社が用意する。開発者は本当に作りたいモノとユーザーインターフェイスにフォーカスできる」と江草氏はアピールする。
通信に関しても、「Wi-Fiの設定とか、しょうもないところでつまづいている。だったら、最初から通信できる状態で渡しちゃえばいいじゃんというのが僕たちの発想ですね」(小笠原氏)とのこと。さくらのIoT Platformではデータのやりとりの方法が決まっているので、バックエンドの通信方法が変わっても対応できる。「3GやLTE、無線LANなど後ろの通信方式を意識しないで、開発できるのが今後の目標」(江草氏)だという。
もちろん、開発に関しても、上位のさまざまなサービスを活用できる。小笠原氏は、Node-REDでIoTサービスのロジックを決め、さくらのIoT Platformから出力した音声データから感情を読み取るsentimentのサービスとつなぎ込んでみる。これで音声から「悲しい」という感情を読み取り、それをSNSにはき出すといったサービスが簡単に作れるという。さらに閉域網にmilkcocoa(ウフル)というBaaS(Backend as a Service)を用意しており、数十行のJavaScriptを書くだけでも、より凝ったアプリができるという。小笠原氏は、プレゼンに表示されたバーコードを観客に読み込ませ、スマートフォンの傾きを検知してくれるというアプリを披露した。
江草氏が「今までスマホでアプリを動かすためのバックエンドだったのが、モノをつなぐ先にさくらのIoTモジュールが増えて、そこからデータが上がって処理できるようになる」と説明すると、小笠原氏は「簡単に作れることがすべてじゃないけど、簡単にプロトライピングできることはすごい重要だと思っている。やれないという思いこみをなくし、『やれるんだ』、『やってみよう』『じゃあ、どんなもの作れるかな』がたくさん出てきて、そこからみんなが使えるモノがでてくる」と応じる。とにかくIoTの敷居を低くし、コード書けない人でもチャレンジする機会を増やしたいというのが、さくらのねらいと言える。
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