日本IBMは2月12日、大成建設のモバイル端末による設計情報共有環境をクラウドで構築したと発表した。設計情報(BIMデータ)をクラウド上で一元管理するためには、高性能な端末環境や、高い機密性が求められていた。その打開策は――?
大成建設は、「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念のもと、安全で快適な生活環境の整備を通じて社会の持続的発展に貢献することを企業活動の大きな目標としている。
また、「中期経営計画(2015-2017)」では「建設事業本業の深耕」の基本方針を掲げ、これらを支える施策の一つとして、先進的なITを活用することで、顧客満足度や他社との差別化によるビジネス拡大を目指している。
その一環として、モバイル環境での設計情報共有が可能な「T-BIM クラウドビューワ」を構築した。そのITインフラに、先進的なモバイル活用を実現する「IBM MobileFirst」のモバイル仮想化技術「IBM Mobile Virtualization Services」、高品質・高性能なネットワークおよび画像処理プロセッサを搭載できるクラウドサービス「SoftLayer」が採用された。
「T-BIM クラウドビューワ」では、設計情報(BIMデータ)をクラウド上で一元管理し、あらゆる端末で共有できる。
建設プロジェクトの推進にはプロジェクト関係者間で効率的な情報共有が必要不可欠だが、データ量が膨大で操作に高性能なコンピュータが必要となり、さらに高い機密性が求められるなど柔軟な運用に課題があったという。
そうした懸念を払拭するため、設計データは端末側で保持しないことでセキュリテェイを確保。さらにモバイル仮想化技術で、プログラム実行などの機能を利用者の端末から切り離し、すべての処理をサーバー側に集中させ、画面出力を端末に転送する方式とすることで、モバイル端末でも実用に耐える軽快さを実現した。
SoftLayerには高性能GPUが搭載できるため、自前でGPU専用機器を用意する必要もなかったという。