皆さんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか? 筆者はわりとズタボロな状況であります。東京での長期休暇を終えて、カリフォルニア州バークレーに戻りました。45日間も旅先に滞在していると、さすがに時差ぼけがなかなか治りません。5日程度の滞在なら、悪くて1日で修正できるのですが、今回は1週間くらいかかってしまった感じです。
バークレーはすっかり冬が終わってしまったようで、日本でいう春一番のような暴風が吹き荒れています。気温は20度まで上がり、つまるところ、花粉が思い切り飛び始めているのが現状です。
仕方がないので、「地元で採れた蜂蜜」と「地元のミツバチが集めた花粉団子」の摂取を始めました。昨年わりと効果があったのですが、この対処法の問題点は飲み始め。花粉を制するために花粉を飲む。わかっていても、飲み始めはより一層、鼻水・くしゃみの症状に見舞われます。
早くなんとかしなければ、というところです。
スーパーボウルでPayPalのテレビCMが
さて、2月は米国の国民的行事はいくつかあるのですが、まずはアメリカンフットボールのイベント「スーパーボウル」が2月7日に行われました。50回目、しかもシリコンバレー南端のサンタクララでの開催とあって、今年ベイエリアでは、より一層の盛り上がりを見せていました。
米国西海岸時間の午後3時半にキックオフだったのですが、お昼を過ぎると、バークレーの街には人が少なくひっそり。みんなビールとスナックを片手にテレビの前に鎮座して待つ、といった状況だったのではないか、と思います。
試合ももちろんですが、コールドプレイにビヨンセ、ブルーノ・マーズがジョイントしたハーフタイムのライブや、テレビ中継の合間に流れるテレビCMも見どころと言えます。1本100万ドルとも言われるCMにはテクノロジー企業からは、クールなウェブサイトを手軽に作ることができるニューヨーク拠点の企業Squarespaceや、PayPalが登場していました。
お金と支払い方について
アメリカでクレカは重要も利便性は日本と差はない
そのスーパーボウルにおけるPayPalのテレビCMのタグラインは、「Paypal is New Money」というものでした。旧来の貨幣との比較をしながら、「新しいお金」の進歩をアピールし、Paypalがそれを担っているというメッセージです。
FinTechという言葉が最近出てきていますが、PayPalはその前身となるX.comの立ち上げが1999年であったことから、古いお金を新しいものに変えてきた老舗と言えます。本質的には、銀行やクレジットカード会社のような、送金・決済プラットホームそのものです。
現在でこそ、PayPalもSquareなどと同様にスマートデバイスに接続してクレジットカード決済をできるようにするサービスを提供していますが、その理由は、米国においては依然として現金とクレジットカードが日常の決済手段だからです。
日本に比べると、クレジットカードの重要度が非常に高いのですが、実は利便性そのものは日本とさほど変わらないのです。アップルやグーグルはそれぞれ、Apple Pay、Android PayといったNFCとスマートフォン、指紋認証を組み合わせた決済サービスを展開していますが、これらは簡単に言えば、クレジットカードの分身(トークン)をスマホに登録しているわけです。
裏を返せば、クレジットカードや銀行口座に紐付くデビットカードがなければ、Apple Payを利用する事はできません。先進国ではさほど珍しいことではありませんが、新興国ではスケールしにくいサービスということになります。
日本の電子マネーはやはり新しい概念か
その点、日本は電子マネー大国といっても良いでしょう。現在は楽天傘下となった「楽天Edy」、JR東日本のSuicaや各地の鉄道会社のブラン、流通系のnanacoにWAONなどなど。
どれも「日本円」と等価で利用できるものばかりですが、さらに使った部分にポイントがついて、さりげなく増えていくんですよね。異例のマイナス金利時代に、お金を使った方が増えるとは、これまた不思議なものです。
余談ですが、先の年末年始に東京に帰った際、今度はポイントカードが大増殖していて驚きました。商業施設ごとにポイントカードがあるのはわかっていましたが、ドコモまでdポイントカードなるものを配布し始めているし、JRの駅にある商業施設では、JR東日本のポイントと商業施設のポイントが別々に存在するという、若干のカオス状態を目の当たりにして、中吊り広告を凝視することが多かったです。
電子マネーもポイントカードも、自分の生活において、いかに最大公約数的に使える場所が多いブランドを選ぶかを考えてきました。ただ電子マネーについては、コンビニなどでもさまざまなブランドが利用できるようになり、旅先や引っ越してすぐの時でも、今までのICカードがそのまま利用できることが多くなりそうです。
もちろん、電子マネーが使えない場所はまだまだ多いですし、オンラインでの使用にはあまり強くありません。しかしながら、電子マネーはポイントサービスと一体になって、なんらかの新しい概念、あるいは新しいお金に対する感覚を生み出していることも確かでしょう。
面白いのは「消費者が使うこと」に重きをおいてサービスが設計されていることです。貯金しがちな日本人とは異なるキャラクターを将来的には生み出すんじゃないかと思うのです。
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