データがより安全に保護される「デュアルディスク冗長化」が実用的に
Drobo B810nの搭載可能なHDDが8台と多くなることで、Droboシリーズが備える「デュアルディスク冗長化」の機能が実用的に使えるようになる。デュアルディスク冗長化とは、RAID5に対するRAID6のように、データ保護のために用いるHDDの容量を増やすことで、HDDの故障に対する耐障害性を上げる仕組みのことだ。
Droboが採用するBeyond RAIDという仕組みは、初期設定(デュアルディスク冗長化を使わない状態)では、搭載した中で最大の容量を持つHDDの1台分の容量をデータ保護に用いる。これにより、HDDが1台故障してもデータは保持される。逆に言うと、HDDが2台が同時に故障するとデータは失われてしまう。
一方、デュアルディスク冗長化を有効にすると、2つ分のHDDの容量をデータ保護に使用し、HDDが2台同時に故障してもデータが失われない状態となる。より安全性は高くなる反面、実効容量は少なくなってしまう。
前回まで紹介してきたDrobo 5D/5Nでも、デュアルディスク冗長化を使えばと考えるかもしれない。だが、両モデルではHDDの最大搭載数が5台であり、デュアルディスク冗長化を有効にすると、全HDD容量の合計に対して、実効容量は半分くらいになるイメージだ。5台のうち3台が実効容量に相当するのだから60%くらいと思うかもしれないが、Beyond RAIDでは異なるサイズのHDDを利用するため、多くの場合60%に満たないのだ。
しかし8台のHDDを搭載できるDrobo B810nでは、状況が変わってくる。Drobo B810nでデュアルディスク冗長化を有効にしても、データ保護に使用されるのは8台のうち2台分になり、実効容量も全HDD容量の70%程度になる。
つまり搭載できるHDDの台数が増えたことで、Drobo B810nはデュアルディスク冗長化が「使える」ようになったと筆者は考える。データの重要性が高まる一方である昨今、この点は大きなアドバンテージである。
まだまだあるDrobo B810nの特徴
もちろんDrobo B810nが備える特徴は、HDDを多く搭載できるだけではない。以下、個別に紹介していこう。
・最大のボリュームサイズは64TB!
Drobo B810nは、Droboシリーズの中で初めて最大ボリュームサイズが64TBとなった(Drobo 5Nも、1月7日リリースのファームウェアバージョン 3.5.5で64TB対応が可能に)。そこまで大きなサイズが必要か? という疑問もあるだろう。しかし、日本国内での代理店であるプリンストンのサイトで紹介されている推奨HDDを見ると、その最大容量はすでに8TBに達している。8TB HDDを8台搭載して利用する場合、実効容量は48~56TBとなり、むしろ16TBや32TBといった容量では明らかに不足なのである(推奨HDD・アクセサリーについて)。 」
なおBeyond RAIDの機能により、実際の記録可能な容量が変化することや、WindowsやMacから見た場合の容量は一定であることはDrobo B810nでも変わらない。この仕組みは、シン・プロビジョニングと呼ばれており、大規模なストレージ機器では一般的なものだ。
・データ配置の自動最適化(自動最適配置機能)
Drobo B810nは、HDDとSSDを組み合わせて搭載できる(自動最適配置機能を使用する場合SSDは3本まで)。その際、アクセスの頻度が高いファイルはSSDに、そうでもないファイルはHDDに記録するといったように、自動的に記録するドライブを選択してくれるのだ。一般的に、自動最適配置機能は大企業向けのハイエンドNASに搭載されているもので、この価格帯の製品に搭載されているのは非常に珍しい。
・2つのギガビットEthernetポート
Drobo B810nは2つのギガビットEthernetポートを備えており、多彩な使い方が考えられる。具体的には、複数のネットワークへの接続、冗長化、そしてリンクアグリゲーションがある。リンクアグリゲーションとは、複数のネットワーク接続を束ねて1本の接続として扱うことで、帯域を向上させる仕組みだ。
ギガビットEthernetの帯域は、だいたい120MB/sec程度。Droboをはじめとした複数のHDDを搭載したストレージアレイでは、サイズの大きなファイルをやりとりすることも多々あるため、明らかに不足している。ギガビットEthernetよりも広帯域の有線ネットワークがなかなか普及しない現状では、リンクアグリゲーションは有効な技術である。
・2台のDrobo B810nによるデータ同期
Drobo B810nが2台あれば、データの自動バックアップもできる。いわゆるディザスタリカバリと呼ばれる仕組みだ。Drobo B810nでは「Drobo DR」と呼ばれている。
Drobo DRでは、同じネットワーク内(施設内)でのバックアップだけでなく、ネットを介しての遠隔地へのバックアップ(VPN環境の構築が必要)にも対応している。個人やSOHOではそうそうBCP(Business Continuity Planning、事業継続計画)が必要になることもないだろうが、資金に余裕があれば試してみたくなる機能だ。
(次ページ、「Drobo B810nをセットアップ」に続く)
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