アコギもシンセもこれ一本の「Starstream」
ビザールギターのパイオニア(ぜんぜんヨイショになってない)VOXが、21世紀になって、また風変わりなギターを出してきました。「Starstream Type1」という新しいギターのシリーズです。まずこの斬新なルックスにしばらく驚いてください。
トレモロユニットやピックアップが載った木材のボディーを、樹脂製のアウターフレームが囲うという構造。軽くなると同時に、楽器用木材が高騰している昨今ですから、安く量産できるメリットもあるのかもしれません。ちなみに、ボディーはマンゴー、ネックはメイプルにローズウッド指板という仕様です。
そしてこのギターには、アコギやシタール、シンセなど27種類の音が出せるモデリング回路「AREOS-D」が積まれていて、およそギターらしからぬ音まで出ます。
LINE 6にVariaxというギターがありますが、基本的な仕組みはあれに近いものでしょう。Variaxはピエゾピックアップの信号をもとにモデリングしているので、ピッキングのニュアンスや、ビブラートやベンドなどのテクニックも違和感なく受け付ます。StarstreamのAREOS-Dシステムは、ピエゾに加えてマグネティックピックアップもからめて音作りをしているようですが、演奏性に大きな違いはないでしょう。
Variaxとの違いは、ドライブやリバーブのようなエフェクトも内蔵していること、そして通常のギター出力のほかにヘッドフォン端子も付いていること。これ一本で完結した音作りができて、練習にも便利というガジェット寄りの構成です。
ただ、ギターシンセサイザーもそうなんですが、この種のギターがいまいちメジャーにならないのはなんで? と思うわけです。弾くとすごくおもしろいんですが。
結局、ギターは楽器の形と奏者のフォーム、そして出てくる音のイメージが、聴き手の側にも一体化して記憶されている。楽器としての存在そのものが奏法と音をアフォードしているとも言えるわけで、腕を振り下ろして出てきた音が「ミョーン」だったりするとずっこける。そんなことかなと思っているのですが、ギターのデザインがStarstreamくらいぶっ飛んでいると、そのへんは平気かもしれません。
価格や発売日は未発表。なお、NAMMショーの現場には、このギターの、もっと奇天烈なプロトタイプも展示されていましたが、それはまた後日。