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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第144回

PuzzlePhoneなど、組立式のモジュラースマホは2016年が元年になる!?

2016年01月31日 11時59分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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第2世代のモジュラーフォンを発売したFairphone

 続いて紹介するFairphoneは、オランダのベンチャー企業。芸術/科学/技術のための非営利機関Waag Societyのプロジェクトとしてスタートした。

 途上国で作られた食べ物や物品を適正な価格で取引するフェアトレードの取り組みから発展したもので、電気製品や電子機器の廃棄への問題意識から、廃棄物をなるべく出さないスマートフォンをと考えたそうだ。典型的な携帯電話やそのパーツには銅、コバルト、コルタン、ニッケルなどが用いられ、それらの多くがコンゴで採掘されている。コンゴの採掘現場ではカタンガ州だけで15万人以上の人が働いており、その約3分の1が子供や若者なのだという。

 初代機「Fairphone 1」は2013年6月に発表。事前予約は5000台を受け付け、同年秋に第一回のバッチとして2万5000台を製造した。累計の出荷台数は6万台と発表している。そして2015年に「Fairphone 2」を発表した。

 事前予約モデルを利用して1200万ユーロを調達(事前予約者は2万6000人)し、12月に出荷を開始した。PuzzlePhone同様にAndroidをベースとし(Android 5.1)、Google PlayなどAndroidのエコシステムを利用できる。

 ハードウェアとしては、5型フルHDのディスプレー、Snapdragon 801を搭載。メモリーは2GB、ストレージは32GB。カメラはフロントがメインが8メガ、サブが2メガで、4GとIEEE802.11acに対応、Bluetooth LE 4.0、GPSなどをサポート。バッテリーは2420mAhだ。

 なお、今回はKwamecorpというデザイン・開発会社と提携し、ユーザーエクスペリエンスを改善したとのことで、エッジからのスワイプで簡単にアプリにアクセスできたり、プライバシー管理機能も導入したとのことだ。

 Fairphoneによると、12月中に事前予約者向けに最初の1000台を出荷、1月中にはすべての事前予約者に行き渡る予定としている。2016年の販売目標は14万台と随分野心的だ。ユニークな試みとして、3Dプリンターネットワークサービスの3D Hubsと提携し、アクセサリーも入手できるようにするとのこと。

「Project Ara」ベースのPhonebloksは?

 最後に同じくオランダのPhonebloksについて。Google「Project Ara」とのコラボレーションで注目されたモジュラースマートフォンコンセプトだ(Phonebloks自体は組み立ては手がけない)。

 Motorola Mobilityは売却してもProject Araは手元に残したGoogleだが、2015年8月には当初2015年中に発売としていたProject Araの端末リリースを2016年に延期している。これについてPhonebloksの創始者Dave Hakkens氏は、「Phonebloksの構想をGoogleと共有した段階では電子廃棄物削減につながるというアイデアにすぎなかった。あくまでも将来のビジョンであり、5年から10年かかると思っていた」と説明。Googleは大きなリソースを投じてこのコンセプトに取り組んでいると支援している。

 Project Araが予定通り今年登場すれば、そしてPuzzlePhoneが予定通り秋に出荷すれば、今年は少なくとも以上の3つのモジュラースマホが揃うことになる。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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