リーズナブルなスティックPC「Diginnos Stick DG-STK1B」を使うにあたって気になるのは、やはりその性能や速度といった点だろう。安くても期待したほどの速度が出ないのなら、外出先に持ち込むのも悩んでしまう。
OSより安い本体価格ということを考えると、それほど贅沢な望みは持たないが、そこそこ使えてくれたらいいなという感じで、今回は、実際に使用する場面を想定しながら本製品を使ってみた。基本構成は下記の通りだ。
Diginnos Stick DG-STK1Bの主なスペック | |
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CPU | Atom Z3735F(1.33GHz) |
OS | Windows 10 Home 32bit |
メモリー | 2GB |
グラフィックス | インテル HDグラフィックス |
ストレージ | 32GB eMMC |
販売価格 | 1万778円 |
HDDは32GB搭載されているが、OSなど、デフォルトでインストールされている容量を除くと20GB程度の空き容量となる。画像や動画などを扱っているとあっという間になくなってしまう容量だが、手っ取り早く容量を増やすには、microSDメモリカードスロットを使うのがいいだろう。現在では128GBのmicroSDカードがあるし、外で用いるという用途ではそのくらいあれば十分だろう。
もし、Diginnos Stick DG-STK1Bをメインマシンとして用いるという場合には、さすがに128GBでは足りないので、外付けのHDDを増設したくなる。その場合のネックはUSBポートの数。そこで今回は4ポートのUSBハブを使って、マウス、キーボード、HDD、デジカメを接続してみたがきちんと動作した。ただ、Diginnos Stick DG-STK1Bの電源はmicroUSBポートからの給電になるので電源の面に不安が残る。HDDなどを接続する際は、外部電源供給タイプのものを使用した方が良い。
また、上記スペックをみてわかる通り、本製品にはスピーカーがないため、PCのディスプレーなど、スピーカーを搭載していない場合には音は出ない。音はHDMI端子を通じて出力されるので、テレビなどでは音が出る。
ブラウジングは動画再生は十分使用できる速度
気になる速度については、実際の操作感としては、それほど動作が重いとは感じなかった。例えば大きな動画を再生しても、途中で止まるといったことはなく、スムーズに観ることができた。3Dを用いたゲームなどは動くことは動くが、さすがに速いというわけではないので、用途としてはやはりネットの閲覧や動画の再生、ビジネスアプリの利用と考えたほうがいいだろう。
インターネットの閲覧では、サイトによってJavaScriptの読み込みに若干時間がかかるサイトもあったが、許容範囲といえる程度。最近のサイトはSNSボタンのスクリプトに時間がかかる場合があるので、そのあたりでひっかかるサイトも多少あったのは気になるところ。
起動にかかる時間は、電源を入れてからロック画面まで約20秒から30秒程度で立ち上がった。使っていくうちにいろいろインストールしていけば、速度は遅くなっていくとは思うがまずは及第点だろう。Class 10のSDメモリーカードで4~6MBといった画像ファイルのコピーを行なってみたが、転送速度もまずまずという感じ。
アプリの利用については、本製品はメモリーを増設することはできないので、メモリーを多く使うアプリの場合はさすがに厳しい。購入時にMicrosoft Officeをプリインストールすることもできるが、大きなデータを扱うときは注意が必要だろう。
無線LANがつながらないことがあった
今回のレビューではWi-Fi接続で通信を行なってみたが、壁をはさんだ4mの距離でつながらないことがあった。同じ位置でスマホやゲーム機などは問題なく接続できるので、若干無線LANの受信は弱いのかも知れない。Wi-Fiルーターは相性もあるので、すべてのルータで同様の結果となるかはわからないが、購入時にはその点の注意も必要だ。
また、スマホによるテザリングを行なってみたのだが、そちらは問題なく接続できた。外出中にPCを使用する必要が生じたときに、本製品が使えるモニターがテレビしかなかった、あるいはネットカフェのWi-Fiで接続できなかったというとき、テザリングで接続するという手は充分にあり。最悪の場合でも、HDMI接続できるモニターがあれば使えるというのは強みだろう。
「Diginnos Stick DG-STK1B」は、コストパフォーマンスがよく、追加機器を考慮しなくていいことを考えると、外出時に持って出たり、旅行先でメールの確認などをするにはうってつけのマシン。自宅のTVに接続してVOD専用マシンとして使うのにも最適だ。