文字盤デザインを自由に変えられるのは素晴らしい
Android系のスマートウォッチと同じく、Apple Watchはさまざまなチャレンジを行なっている新しい世代の腕時計を目指しているが、従来からの腕時計として見るといろいろな観点で満足できない人も多い。これはAndroid系のスマートウォッチも同じだ。
筆者がApple Watchを使っていた頃の一番の残念は、スマートウォッチに壮大な夢を描いている人から見れば、極めて些細な事かもしれないが、第三者の作った交換可能で魅力的なWatch Face(文字盤)が皆無なことだった。
どうもアップル本社様のブランド管理か何かのご意向でできないらしいが、ここは昔の古き良きアップル時代にユーザーだった筆者にはとうてい理解できない難しい世界になってしまっている。
一方、Android系のスマートウォッチであるコネクテッドの方は、タグ・ホイヤーの提供する数種類の素晴らしい文字盤デザインのほかに、仕様さえ合えば、Androidワールドの多くの開発者やマニアックな人達が創った何百何千という文字盤デザインを簡単に使えてしまう。
筆者もすでに何種類かを導入して“文字盤日替わり腕時計”を楽しんでいる。残念ながら現在のところ、発売後まもないコネクテッドに関して、開発者の多くが個体差のある画面解像度などのスペックを知って間もないので、明示的に文字盤デザインの設定画面選択にコネクテッドの名称が登場してきていない。
同じような外観が円形の腕時計であるLG G Watch R用の文字盤も、センター位置や直径サイズなどを変更できたり、コンパティビリティーモードなどができる「Facer」などのアプリを使えば使えてしまうものも多い。これらの課題もコネクテッドの売れ行きに準じて徐々に解決して行くだろう。
個人や企業の開発者が創った交換可能な文字盤は必ずしもコネクテッドの全体デザインにマッチするかは分からない。しかし、多くのソフトウェア資産を、個人の判断で自由に活用できることは、現在のパーソナルソフトウェア世界の最大の資産であり楽しさでもあるだろう。
これからのスマートウォッチの方向性は
スマホの情報伝達リモート装置からの脱却!
コネクテッドが今までのICT系企業から発売されたスマートウォッチと大きく違うのは、いいか悪いかは別にして、スマートウォッチという新しい時計世界ではあるが、その軸足を自分たちの伝統的な腕時計の世界に引き続き置いていることだろう。
それは本体の形状、素材やストラップ、バックル1つをとって見ても明らかだ。何十年何百年と腕に巻き付けて365日活用することを目指した道具は、単にポケットの中のスマホ情報をより眼に近い腕で刹那的に表示することだけを狙ったセカンドディスプレー的ハードウェアとは大きく異る。
ポケットの中のスマホ情報をより脳に近い眼で見たいだけなら、腕時計よりも、やはりグーグルグラス的ハードウェアが理にかなっている。
別に腕時計でなくてもキーホルダーやペン、ブローチでもいいかもしれない。しかし、従来の腕時計的要素にも重心を置きながら、ポケットの中のスマホ情報を今よりより身近に感じて生活してみたいならコネクテッドはいい選択だろう。
Apple Watchを買った時も同じように感じたが、やはりスマートウォッチは狭くて小さな文字盤上に人が見て何かを理解したり判断したりする情報を表示する装置として位置づけるのは間違いだろう。
ただのワンタッチで何かを誰かに瞬時に伝えたり、振動のバリエーションや文字盤の大雑把な光り方などから、ユーザーに何かを伝えるべく便利に働く装置とすべきだろう。現代のスマートウォッチの混迷の一番の原因は、スマホの情報伝達リモート装置として長く別の目的だった腕時計を安易に使ってしまったことが原因の1つだ。
時代の先端を走るエンジニアは、スマートウォッチの画面をよく読んで見なければ何もできないアプリを開発してはならない。見なくても相互の情報伝達が可能なアプリを実現することが一番だ。「スマートウォッチのアプリはユーザーが見たら負け!」という気持ちは今も変わっていない。
腕時計業界の今の混迷状態がこれからも続く限り、スマートウォッチやごく普通の腕時計、新しい素材を使った腕時計などなど、さまざまな腕時計を筆者が衝動買いし続けることはまだまだ続きそうだ。

今回の衝動買い
アイテム:タグ・ホイヤー「コネクテッド」
価格:タグ・ホイヤー銀座にて16万5000円(税別)で購入
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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