IoTが広がる世界で、クロスプラットフォームのセキュリティを提供
マカフィーを買収して約5年、インテルセキュリティ副社長に今後の戦略を聞いた
2015年11月23日 09時00分更新
2011年にインテルが買収したマカフィーは、2014年からインテル セキュリティブランドに統一されつつある。日本でもマイナンバーがスタートし、セキュリティソリューションのニーズが高まっている。そんな中、インテル セキュリティの副社長に現在の状況、将来の戦略などを聞いてみた。
マカフィーは、2011年にインテルに買収され完全子会社になっている。昨年まではマカフィーブランドとインテルブランドはほぼ独立した状態で運営されていたが、この1年間でその状況に大きな変化が起きている。
2014年に、インテルは「マカフィー」ブランドの代わりに「インテル セキュリティ」ブランドを前面に押し出していくと発表。マカフィーの象徴となる盾のアイコンは残されているが、大きく青い文字で「Intel Security」と入ったロゴになった。
ジアマッテオ氏は2013年にマカフィーに入社する前まで、AVG社のCOOとして株式上場を成功させている人物。大の日本好きでもあり、東京には4年間住んでいたことも。末っ娘も東京生まれとのことで、思い入れが強いそうだ。
IoTが広がる世界で、クロスプラットフォームのセキュリティを提供する
まずマカフィーを買収してから変わったことと、現在の状況について伺った。
「5年前にインテルはマカフィーを買収し、これまでの業務はセキュリティ側とインテル側として独立して行ってきました。しかし、ここ12ヵ月をかけて統合を進めており、ビジネスプロセスやイノベーション、そして商品を提供することなどをお互いに協力するようになっています」とジアマッテオ氏。
インテルは、インテル製品を使ってもらうことでユーザーの環境がより安全になるというミッションとビジョンを持っている。そこで、インテルとインテル セキュリティが緊密に協力することで、「IoT」(Internet of Things=モノのインターネット)が広まる状況でより強固なセキュリティを提供していけるという。
この数年間、彼らはIoTやモバイル向けのソリューションに投資を続けているという。その集大成が「マカフィー リブセーフ」だ。今時、スマホとパソコン、タブレットなど複数のデバイスを所有しているのが当たり前。セキュリティソリューションを選ぶ際に気になるのがライセンスだ。その点マカフィー リブセーフは、1契約でそのユーザーが所有するすべてのデバイスを守ってくれるのが特徴。iOS、Android、Windows、Macのクロスプラットフォームで、個別にセキュリティソリューションを選ぶ手間から開放される。価格も、台数無制限で1年間5746円(11月18日時点の特別価格)とお手頃だ。
10月16日に、2016年版のマカフィー リブセーフが発売された。最新版では「True Key」という新技術が搭載されている。これは、生体認証でIDとパスワードを管理する機能。ユーザーの顔や指紋で認証したり、所有している2台の端末を連携させて認証したりする機能だ。昨今、IDとパスワードでのアカウント管理は時代遅れと言われることもあるが、インテル セキュリティもそのように考えているのだろうか?
「パスワードで何かを管理しなければいけないのは、確かに時代遅れの問題だと思います。今後、IoTの普及に伴って人々の生活が複雑になり、さまざまな端末がネットに接続されるようになります。その時、複数のプラットフォームを越えて、さらに生体認証というセキュリティレベルの高い技術で守ることができます。True Keyは、従来のパスワード管理では難しかったことを、シンプルに実現できるのです」
しかし、今年お目見えしたWindows 10も生体認証機能「Windows Hello」を搭載するが、True Keyと同時には利用できないのが気になる。これに対しては
「生体認証ではFIDO Allianceという標準化機構があり、我々(インテル)やマイクロソフトもパートナーになっています。将来的には、True KeyでWindowsの認証をアンロックするなど、互換性を持たせる予定です」と頼もしい返事をいただいた。