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「トップは社員の下につけ」「競合は友と思え」フィンランド逆転の発想法

2015年11月20日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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グローバル市場で戦うために共闘していけるか

 世界がテクノロジーで平均化され、商流の変化が大きな時代にあっては、より素早く「挑戦」と「失敗」を重ね、成功を見つけたものが勝利をつかむ。

 そのためにはより大きな単位で挑戦しやすい環境づくりが必要になり、フィンランドにおいては「国内の“敵”は“仲間”である」「トップは社員の下につくべきだ」という、いままでの大企業と真逆の発想が成功の鍵となった。

 これは大企業の上層部が好きな“お題目”ではない。

 1980年代、バブル経済の崩壊、また最大の貿易相手国だった旧ソ連の解体と同時に経済が冷え切ったフィンランド。1990年代から「ヴァーサモデル」と呼ばれる起業家精神教育をはじめ、国家としてイノベーション立国戦略を掲げてきた。

 人口は北海道にも満たないものの、西を見ればヨーロッパがあり、東を見ればロシア(アジア)がある。フィンランドにとってビジネスチャンスはつねに「世界」にある。逆に言えば、世界に出られなければ何にもならない。ジモティーたちの共闘策は、いわば自然な発想だったともいえる。

 国内の限られたパイを“仲良く”分けるのではなく、グローバル市場で戦うために“家族”として同業他社とどこまで開襟し、共闘していけるか。日本企業がフィンランドの「ジモティー的成功」に学ぶところは少なくないはずだ。

 ちなみに私見ではいま、日本でもバーチャルリアリティー(VR)コミュニティーがフィンランドゲーム産業と似た幸福な状況になりつつあるように見える。

 国内競合同士の囲い込み競争にまとまってしまうことなく、開発者たちが失敗を恐れず果敢に振る舞い、世界に羽ばたける環境が続くといいのだが。


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