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いかに「カゴ落ち」を減らすか?ヤマダ電機のネット通販がPayPalのID決済対応

2015年11月06日 06時00分更新

文● イトー / Tamotsu Ito/大江戸スタートアップ

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各商品ページにPayPalボタンが追加。すでにこの状態での運用を開始している。

 PayPalは11月5日、ヤマダ電機のネット通販サイト「ヤマダウェブコム」がPayPalによるID決済に対応したと発表。PayPalユーザーは、ヤマダウェブコムの決済時にPayPalボタンから決済することで、住所や名前などを入力することなく決済に進むことができる。

 今回の対応に合わせてヤマダウェブコム自体のUIも一新され、各商品ページからゲスト購入しやすくなるなど、ユーザーにさらに買ってもらいやすく仕組みを提供する。

 同日PayPalが実施したプレス向けの説明会のスピーカーとなったPayPal日本支店の杉江部長によれば、現在、ECサイトでは、カートに商品を入れたものの実際には決済されない「カゴ落ち」が増加する一方、会員登録された生年月日が必ずしも正しくないなど"個人情報の不完全さ"も問題になっているという。

 具体的にはカゴ落ち率は60%(2006年)から71%(2013年)へと増加。その理由のなかには「会員登録が必要だったから」「購入フローが煩雑」「送料が最後までわからなかった」(以上、PayPal発表)などUX設計を理由にするものが挙げられる。

ペイパル日本支店 杉江部長。(2014年12月撮影)

率でいうと、トップ25のECサイトのうち、アメリカではゲスト購入は92%のサイトで可能。一方日本のECサイトは16%でしかゲスト購入ができないのが現状。

13〜29歳にフォーカスすると、デバイス所有率はスマホが圧倒的に多い。特にティーン層が今後、モバイル決済ができる年齢になってくれば、そのままスマホで(意外と高価な)モノを買うというシナリオは現実化すると見る。

アドテク大手のクリテオの調査によれば、日本のEC決済のモバイル利用は2015年第1四半期に50%を超えた。1万円以上などの高単価のEC決済に絞ると結果がまた変わってくると思われるが、とはいうもののネットショッピングのモバイル決済において日本が世界をリードしている、というデータになっている。

 PayPalによれば、ネット通販先進国であるアメリカでは、トップ25のECサイトのうち、会員登録が"必須"とするECはわずか2つに対し、日本のECでは21のサイトが登録必須なのだという。
 そのUX設計自体がカゴ落ちを増加させており、しかも登録されるデータは生年月日が適当に入力されているなど不正確なのであれば、ユーザー分析(CRM)としての根拠も薄い。それなら、ID決済でユーザー情報を管理したほうが、買い手は入力の手間なくスムーズに商品が買え、売り手(EC)もより正確なユーザー情報を活用できる、ということになる。

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