本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
あえて「メモリ」に注目
予約システムの整備完了とAppleの方針転換(?)もあってか、今度のiPhoneでは行列が消えた。行列しているという報道が作り出す雰囲気は、購入を検討している人に焦りをもたらし、その焦りが伝播して行列を延ばす方向に作用する……という流れは、放水による水しぶきで魚群を興奮状態に陥らせ釣果を高める“カツオの一本釣り”を連想させる。
しかし、我々はカツオではない。iPhoneとの付き合いもかれこれ8年、メジャー番号が上がった翌年のモデルに「s」が付くことは承知しているし、「s」には前モデルのプラットフォームが継承されることも了解している。逆に、「s」が付くからといって大人しめのモデルではないことも、ましてやマイナーチェンジではないこともだ。
実際、2015年モデル「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」の見どころは少なくない。処理性能が向上したSoC「Apple A9」。ピクセル数が1200万に増え4Kビデオ撮影も可能になったカメラ。そして、感圧タッチ機構「3D Touch」を搭載したRetina HDディスプレイ。指紋認識機構「Touch ID」の処理速度も向上した。筐体デザインに変わりはないものの、素材は高剛性の7000番台アルミに変更、新色ローズゴールドも追加されている。
ところで、iPhone 6s/iPhone 6s Plus全体にまんべんなく効いている改良箇所は「メモリ」だ。わかりやすさと一般度でいえば、UIに大きな変化をもたらす「3D Touch」が筆頭に挙げられるべきだし、4K撮影に対応したカメラ(間もなく世界トップシェアの4Kビデオカメラになるはず)も見逃せないが、メモリ容量が増えたことによるメリットはかなり大きい。
システム情報を収集するサードパーティー製「System Status」(バージョン5.3)で調べたところ、iPhone 6sのメモリ容量は2GBとiPhone 6から倍増。CPUアーキテクチャはApple A8と同じ64bit/2コアだが、L2キャッシュサイズはiPhone 6の1024KBから3072KBへと3倍に増えていることを確認できた。
実際、メモリの変化はいろいろな場面で効いている。iPhone 6s/iPhone 6s Plusの操作感はかなり軽快、従来の操作体系はもちろん「クイックアクション」など3D Touchによる操作も快適だが、それには裏付けがあるようだ。次項、iPhone 6sにおけるメモリの変化について考えてみよう。
System Status - activity monitor, network info, battery charge & memory manager | |||
---|---|---|---|
価格 | 360円 | 作者 | Techet |
バージョン | 5.3 | ファイル容量 | 6.2 MB |
対応デバイス | iPhone4S以降、iPad(第3世代以降)、iPad mini以降、iPod touch(第5世代以降) | 対応OS | iOS 8以降 |
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