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DCC、ヒューマンアカデミー、ランサーズ、リアルワールドで合同取材

クラウドソーシングに技能検定が登場!業界標準を目指す4社に聞く

2015年09月29日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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主婦や地方の方が新しい働き方をチャレンジするきっかけに

アスキー 大谷:どんな人を対象にしているのでしょうか?

DCC 南雲:クラウドソーシング全般に言えるのですが、基本的には優秀なのに制約があってお仕事ができない方。たとえば、主婦だったり、地方の方、体に障害のある方などにお役立ていただければなあと思います。特に、優秀なのにもかかわらず、家事や子育てで週5日は働けないという主婦の方は、意外とクラウドソーシングのような働き方を知りません。これをきっかけに業界に飛び込んでもらい、もう一度社会で大活躍していただきたいと思います。

ヒューマンアカデミー 岡本:当社のユーザーを見ると、20代以上は8割が女性。そういった方々に専門技能だけではなく、多様な働き方を提案していきたい。女性が結婚や子育てのようなライフイベントを経ても、きちんと仕事を続けたり、新しい働き方を見つけていただくお手伝いをさせていただきたいです。あとは地方の方ですね。どうしても、日本は首都圏に仕事が寄ってしまうので、クラウドソーシングのようなチャンスが与えられれば、地方の方でも十分力を発揮できると思います。

一方で、日本は今後就業人口が減っていくため、労働者の生産性を伸ばす必要があります。こうした中、労働市場に出てこない主婦や地方の方に機会を提供し、クラウドソーシング市場を拡大するだけではなく、既存の労働者のすきま時間などを活用し、今まで培ってきた技能や知見を生産的な活動に活かしていけるような新しいビジネスを拓く役割も持っているのかなと思います。

リアルワールド 菊池:日本はアウトソーシングが海外に比べて圧倒的に遅れています。今後、アウトソーシングでいかに企業の機動力を活かしていくかは大きな課題になります。その中で、先ほど岡本さんがお話ししていた「スキマ時間」の活用はすごく重要。往復の通勤時間で疲弊したり、場所に依存するような働き方を脱却し、有効に時間を活用する手段をみなさんと考えていきたい。弊社でも主婦の方はもちろんですが、高齢者の方などにもフォーカスしていきたいと考えています。

ランサーズ 秋好:ランサーズで言うと、仕事の半分以上は東京ですが、働いている方の8割は地方の方。単純に地方は仕事がないので、こういう資格を取得すれば、東京のライティングの仕事がとれて、きちんと収入を得られるという構図を作っていきたいですね。

教育業界とクラウドソーシング業界の大同盟ができた

アスキー 大谷:当初の目的はどんな感じでしょうか?

DCC 南雲:まずは1年間で1万人の資格取得者を目指します。ヒューマンアカデミーさんのご尽力は大きいのですが、こういう資格を作ることで、クラウドソーシング自体をまず知っていただきたいです。今回の座組みではクラウドソーシング事業者や資格学校など、いろいろな立場の方が集まってもらったので、大きな効果を得られると思います。

「まずは1年間で1万人の資格取得者を目指します」(DCC 南雲氏)

アスキー 大谷:参画する各社はどんな“野望”をお持ちなんでしょうか?

ヒューマンアカデミー 岡本:今回の座組みで入り口側を担っているわれわれとしては、働く方への認知はもちろん、発注側への働きかけも進めていきます。クラウドクリエイターのクオリティの高さを知ってもらい、発注する1つの目安にしていきたいです。これによって業界標準としての形ができてくると思いますので、多くの事業者に参画いただいて、資格検定制度を根付かしていきたいです。

あと、これは個人的に挑戦してみたいこととしては、「時間に投資してもらう」という提案です。学ぶためにクラウドソーシングで時間を投資してもらい、得た収入を学びに投資してもらうという考え方です。現在はお金に換金されているのですが、これを教育に換えるという価値交換の仕組みはできないか。ぜひチャレンジしていきたいです。

リアルワールド 菊池:今回のようにクラウドソーシングで働く方を育てるという検定もあるのですが、クラウドソーシングを使いこなすための仕組みも必要かなと思っています。1人のクラウドディレクターで多くのクラウドクリエイターを効率よく動かせば、今後顕在化してくるサービス業界の人材不足の解消につながります。そう言う意味では、クラウドディレクターの育成というのも、今後鍵になってくると思います。

ランサーズ 秋好:われわれは仕事をたくさん持っているので、資格を取得した方にまずは仕事をきちんと提供するのが事業者側の役割です。もう1つは地域との取り組みです。われわれも地方自治体といろいろな取り組みをやっていますが、みなさんクラウドソーシングで働きたいという方を育成できないという悩みがあります。そういった地方自治体に対しての啓蒙はわれわれの役割だと思っています。

アスキー 大谷:始まったばかりだとは思うんですが、次の展開について教えてください。

DCC 南雲:ヒューマンアカデミーさんと協力して、クラウドソーシングのセミナーや勉強会を開く予定です。資格に関しては、需要と供給を踏まえつつなんですが、Webディレクションや画像処理、チャット系のコミュニケーションなど十弾くらいまで検討しています。クラウドソーシング界をスタンダードなものにするための資格として、次々発信していきたいです。

アスキー 大谷:それにしても業界をまたいだ座組みになりましたね。

DCC 南雲:今回、教育業界の大手とクラウドソーシング業界の大手を結びつけられたということで、薩長同盟の坂本龍馬になった気分です(笑)。われわれはWebの力を使い、みなさまの協力を仰ぎながら、幅広く認知させていきたいと思っています。

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