レコードが鳴らせる最高の「ガジェット」
さていよいよ音を鳴らしてみる。前回同様、お義父さんのレコードコレクションから弦楽協奏曲のようなクラッシックや、グレープのような懐かしフォークソングを選ぶ。内蔵スピーカーで、いざ針を落とした瞬間の驚きがすごかった。
うおおっちゃんと音出るじゃんなんだこれ! と笑ってしまった。
もっとも音質は「良い感じのアクティブスピーカー」くらい。解像感がどうこういうレベルじゃなかった。けど、アクティブスピーカーの音質に慣れている耳で聞くと、遊びで使うならこれくらい出れば十分じゃない? と感じる自分もいた。
なによりケーブルが電源1本というのがめちゃ気軽だ。ラジカセ感覚。これでいいじゃんと割り切れば、音楽と遊ぶような使い方ができて楽しい。音楽をインテリアにするという感覚はオーディオテクニカよりこっちの方が強い気がする。
次に、背面に赤白RCAケーブルでアンプにつないで聴いてみる。音質はオーディオテクニカと比べるとちょっと劣る気もしたけど、いい音だ。レビューでよく見かける針飛びもなく、回転ムラにしても試しているときは目立たなかった。
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さて記者はオーディオテクニカとION AUDIOのどちらを選ぶか……これがめちゃくちゃ迷う。ほんとに迷う。1万円なのに。
オーディオテクニカは伝統的なオーディオの良心がつめこまれている。家庭に音楽があることの喜びを静かに教えてくれる優しさ、真摯さ、律儀さがあった。
一方、ION AUDIOはオーディオというよりガジェット。でもおもちゃとしてめっちゃ出来が良くて、次は何して遊ぼうかなあ、とワクワクさせられる。
要は、フローラとビアンカだ(わからない人はドラクエVの世代に聞いてね)。
なんだかレコードプレイヤー選びを超えて、自分が何を大切にしているか問いなおすことになりそうだ。いま人生で悩んでいることがある人は、どちらのプレイヤーに惹かれるかで自分を見つめなおすことができるかもしれない。
ION AUDIO『Archive LP』
参考価格 9980円
回転数 33/45/78回転
サイズ 幅406×奥行き360×高さ88mm
重量 約2.7kg
付属品 USBケーブル
交換針 PT01RS1
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