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情報の取り扱い説明書 2015年版 第11回

ウェアラブルは避けて通れないコンピューターの進化

誰も教えてくれない、ウェアラブルを注目すべき本当の理由

2015年09月15日 10時00分更新

文● 高橋幸治、編集●ASCII.jp

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身体情報が今後のビジネス、エンターテインメントを牽引する

 先日女子バレーボールのワールドカップを観ていたら、日本代表の選手たちの最大心拍数に対する現在の心拍数がリアルタイムに表示されていた。どうやら最大心拍数の70%程度が最良のパフォーマンスを発揮できる数値らしい。

 今後はスポーツ中継などにおいて、こうしたアスリートたちの身体情報が視聴者にとっても興味深い要素となっていくだろう。ちなみにワールドカップのシステムは、GPS内蔵の高性能スポーツウォッチや自転車に搭載するサイクリングコンピューターなどを開発するフィンランドのPolarのセンシング技術によって実現されている。

ランニング、水泳、サイクリングなどのスポーツジャンルでさまざまな身体情報の計測機器を開発するフィンランド・Polarのウェブサイト。個人使用のものからプロチーム向けのソリューションまであらゆるプロダクトを網羅しており、女子バレーボールワールドカップにおける選手の心拍数計測には同社の技術が使用された

 もちろん、オリンピックに出場するようなアスリートだけではなく、ジョギングを習慣とする人やマラソン大会への出場を趣味としている人たちは大勢いて(筆者のその一人なのだが)、彼らはトレーニングのたびに自分の身体情報を計測している。

 巷間でよく語られるように、ウェアラブルコンピューターはまずこうしたスポーツのジャンルから波及していくに違いない。周知の通り、近年のランニングブームには目を見張るものがあり、ここ数年、多少の鈍化傾向は見られるものの、依然、週一回以上走るランナーの数は実に500万人以上にものぼっているという。

 身体や肉体がテクノロジーと連携してエンターテインメント化していく傾向は、Googleの位置情報を利用したオンラインゲーム「Ingress」の例を見ても明らかだ。Ingressのために特別にシューズを新調するプレーヤーなどもいて、2013年のリリース以来、アプリケーションのダウンロード数は1000万を超えたと言われている。

Niantic Labs(Googleから独立)の拡張現実陣取りゲーム「Ingress」。このゲームにはハマり込むあまり、運動に目覚めてしまうプレーヤーも少なくない。身体や肉体とテクノロジーとの融合が、今後のクリエイティブ、ビジネス、エンターテインメントを牽引していく好例と言える

 靴といえばLenovoが今年5月に北京で試作品を公開したスマートシューズなども、ウェアラブルコンピューターの今後の展開を示唆したプロダクトと言える。大量消費時代の終焉とともに人々の関心がモノ(商品)の過剰な所有を離れ、自分自身のストーリーが人生における価値の主役に躍り出る中、身体や肉体を通したコト(体験)に重きが置かれる時代になったと指摘されて久しい。このトレンドは今後もますます進行していくものと思われる。

 ビジネスの世界においても、「情報産業」は従来の「知的情報産業」と新興の「身体情報産業」に分化していくはずだ。

5月28日に中国・北京で開催された「Lenovo Tech World」において、Lenovoはスマートフォンと連動可能なスマートシューズを参考出品した。専用アプリでさまざまな身体情報を収集できるほか、シューズ側面のLEDライトに専用アプリ経由で簡単な絵や文字を表示させることも可能。夜間にランニングをする際、車両などへの注意喚起にも効果を発揮するだろう

(次ページでは、「ウェアラブルコンピューターによって自らをアップするようになる」)

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