平成26年分から始まった白色申告の「記帳義務化」って何?
宮原 「記帳義務化」、ご存じですか? 平成26年分から始まっていますが、これは赤字だろうが記帳の義務はあるというものです。
あべ 青色申告の場合ですか?
宮原 いえ、もともと青色申告と一定の白色申告の方には義務があったのですが、これが青色すべての人に課されたんです。
あべ 私、青色申告なのに記帳ってやったことがないんですけど……。
宮原 昨年までの10万控除はどうされていたんですか?
あべ 家計管理ソフトを使って、必要経費を表に打ち込んで、その分を収入から引いて申告していました。
宮原 それなら、一応「記帳」はされているということになりますよ。
あべ そうなんですか!
宮原 昨年のあべさんのやり方だと、白色申告程度の記帳義務は果たしています。
あべ あ、白……。私が青色申告にしたのは、税務署の人に「これ、青でもいいんじゃない?」って言われたことがキッカケだったんです。で、そのまま白と青の違いもよくわからずに見よう見まねで何年も青色申告をしているというのが現状でして……。だから、65万控除はしてないんです。やっぱりちゃんと勉強しないとダメなんですよね?
宮原 やよいのクラウド申告ソフト「やよいの白色申告 オンライン」や「やよいの青色申告 オンライン」などを使えば、かんたんに計算はできるんです。でも、やっぱり多少の知識がないと最終的に、結果があっているのかどうかの判断がつかないという部分は確かにありますね。でも、自力で手書きでやるよりは、会計ソフトを使ったほうが65万控除への道は圧倒的に近いです。
あべ 私のレベルでも大丈夫でしょうか?
宮原 事業用の預金や減価償却してるもの、借入金などはないですか?
あべ はい
宮原 それなら、いままでとさほど変わらない考え方でやっても65万控除がうっかりできちゃったりしますよ!
あべ え〜! じゃあ、挑戦してみようかな。
宮原 複式簿記自体は、申告ソフトなどのツールを使えば仕訳がわからなくても、なんとなく仕訳にはしてくれるので心配はありません。
10万円控除では儲けの計算をする「損益計算書」を作りますが、65万控除はそれに加えて年末の12月31日現在での「事業用の財産」として預金がいくらあるか、パソコンなどの減価償却の残りがいくらあるか、借入金がいくらあるか、という財産目録のようなもの(貸借対照表)を作ることが要件なんです。
あべ 私の場合、事業用の財産も、自分自身の財産も同じなんですけど……。
宮原 「預金」には事業費と生活費の両方が含まれているというのは当然のこととしてあって然りなんです。だから、全部ひっくるめた金額で書いてしまってOK。
あべ あ、ちょっと気がラクになりました。
宮原 ただ、それが年末になったから急いで書こう!というのでは複式簿記にはならないんです。あくまでも、毎回の取引が積もり積もって、お金が減って増えて…というのが記帳されて12月31日の金額になるんです。
あべ 1つの仕事に対してお金の出し入れがあったということを、そのつどきちんと書いておけばいいということですね?
宮原 そうです。
あべ またまた基本的なことで恐縮なんですが……。
宮原 どうぞ、どうぞ!
あべ たとえば、封筒や切手、消しゴムなんかを買った場合、これは全部の仕事に使うものなんですが、こういう場合はどうしたらいいんでしょう?
宮原 例えば、封筒100枚パックで買ってまだ使い切っていない、というようなことですか?
あべ そうそう、文具類はそういうものがほとんどです。
宮原 10万円未満の少額のものだったら買った時点の経費として書いていいです。
あべ 経費でいいんですね!
宮原 消耗品費や事務用品費として計上してください。
あべ 使い切れなくて残っているものは?
宮原 それは気にせず他の仕事で使ってください。買った時点で必要経費にちゃんと入れているので大丈夫です。ただし、それが1つで10万円以上のものの場合は減価償却費の対象になります。
あべ 10万円以上が減価償却の対象になるんですね。
宮原 正確には10万円未満でも長く使えるものは減価償却の対象ではあるんですが、10万円未満ば少額のものとして購入時に経費として計上してOKということになっています。
(次ページ「「貯蔵品」とはなんぞや!?」ヘ続く )