Apple Musicをいい音で楽しむ! iPhoneオーディオ強化術 第3回
Apple Musicがハイレゾ相当の音質に!? おすすめポタアンをピックアップ!
2015年08月19日 12時00分更新
エネルギー感がしっかりと出る!
上質にして完成度の高いソニー「PHA-3」
ソニー「PHA-3」(実売価格8万5000円前後)は、同社のポタアンの最上位モデルで、DACチップはESSの「ES9018」を採用。リニアPCMで最大384kHz/32bit、DSD5.6MHzに対応する(PCとの接続時)。
今回紹介した製品では最も高価なモデルだけあり、投入された物量は圧倒的だ。デジタル処理部のマスタークロックは、44.1kHz系と48kHz系の2つを独立して搭載。低抵抗の高音質ボリュームや、「ウォークマン ZX-1/ZX-2」でも採用された「OSコンデンサー」を採用するなど、高音質パーツを惜しみなく使っている。
その分大柄なボディーとなるが、剛性感たっぷりで、ヘッドホン出力は端子部を削りだしの真ちゅうで強固に固定するなど、振動対策も徹底している。
両サイドを丸くラウンドした形状としているせいか、思ったよりも圧迫感はない。天面に滑り止めのゴムを備え、結束用のゴムバンドも付属しており、iPhoneなどを重ねて持ち歩くといった使い方もできる。
ヘッドホン出力は、通常のアンバランス端子のほか、ステレオミニ端子×2のバランス出力も装備。同社の対応ヘッドホンと対応するバランス接続ケーブルを使って、チャンネルセパレーションに優れた再生が可能だ。
入力端子は、USB、microUSB、光デジタル入力、アナログ音声入力があり、このほかに充電用のmicroUSB端子もある。PCやiPhone、ウォークマンやAndoroid端末、そして光デジタル出力を持つAV機器と多彩な機器との接続に対応している。
「DSEE HX」でApple Musicが
ハイレゾ相当の音質に!
試聴は他の機器と同じようにアンバランス接続で行なった。それでも音の実力は一番で、ジャズのリズムの力強さと切れ味、メロディーを奏でるピアノのタッチの強弱の再現など、力強さと繊細さが両立した非常に高い表現力を持っている。
音の粒立ちのよさや情報量の豊かさなど、解像感も十分に高いが、全体的な印象としては安定感のある落ち着いたトーンの再現になる。質の高い楽曲をより上質に再現しようという、ピュア・オーディオ的な音の仕上がりを感じる。
クラシックを聴くと、AAC音源のためか個々の音像の輪郭が甘くなるようなところもある。ロッシー圧縮の音源で感じやすい空間の広がりの狭さやディテールの甘さを正直に出してしまうところはある。
だが、本機には独自のデジタル高音質化技術「DSEE HX」がある。これは、ロッシー圧縮音源の失われがちな高音域や微妙な響きの余韻のような微小音などを復元するだけでなく、最大192kHz/24bit相当までハイサンプリング/ハイビット化を行なう機能。
ロッシー圧縮音源ならば元の音源に近づくし、CD音源ならばハイレゾ音源に近い品位での再生が行なえるというもの。
このDSEE HXをオンにすると、響きの余韻が明瞭になり、ステージの広がり感も増す。クラシックならば広いコンサートホールの響きが感じられるし、ジャズのライブなら比較的小さなステージの雰囲気がよく伝わる。
こうした細かな情報量の再現や空間感はハイレゾ音源のような感触とも言えるし、元がロッシー圧縮のAAC音源とは思えない。音色的な変化は少ないのだが、より自然でなめらかな感触になると感じた。
これまでDSEE HXを備えた機器は多くがハイレゾ対応機のため、試聴でもハイレゾ音源で実力を試すことが多く、正直DSEE HXにはあまり関心がなかった。
だが、こうしてApple Musicを聴いてみるとなかなか好ましい高音質化になっていることがよくわかった。これはかなり実用的な機能。高級機と言えどもこれからは、ハイレゾ専用などとは言っていられない時代になる可能性が高いので、こうした機能は採用モデルも増えてくると実感した。
(次ページに続く、「AAC対応のBluetoothヘッドフォン/スピーカーもオススメ」)
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