デルとネクセンタ・システムズ・ジャパンは8月4日、ユニファイドストレージアプライアンス「Dell-Nexentaストレージ・アプライアンス NDシリーズ」の販売を開始した。デルの汎用サーバー/ストレージハードウェアとネクセンタのストレージOSを組み合わせたSoftware-Defined Storage(SDS)を、ワークロードを問わない汎用ストレージとして提供する。
ネクセンタの「NexentaStor」は、ZFSファイルシステムやillumos(旧OpenSolaris)カーネルなどのオープンソース技術をベースに開発されているストレージ専用OSである(関連記事)。ファイル/ブロックのユニファイドストレージ機能、HA機能、インライン重複排除/圧縮機能、無制限スナップショット機能などを備えている。
ネクセンタの国内ディストリビュータであるアセンテックとデルでは、昨年8月より、NexentaStorとデルの「PowerEdge R720」、ディスクエンクロージャで構成される「DELL-Nexentaアプライアンス ソリューション」を販売してきた(関連記事)。今回はその後継にあたる製品で、ストレージヘッドを第13世代PowerEdgeサーバー「PowerEdge R730」に刷新したほか、製品名もNDシリーズと改めている。
NDシリーズのラインアップは、用途に応じて6モデル(物理容量44~960TB)が用意されている。いずれもストレージヘッドはHA構成で、冗長化されたSAS HBAを介してストレージエンクロージャーと接続する。なお、これらのモデルはリファレンスアーキテクチャであり、実際にはキャッシュメモリの増強やSSD搭載など、顧客の要件に応じたカスタマイズも可能。
販売価格(税抜)は、エントリーモデルのND-44が960万円から、ハイキャパシティアーカイブモデルのND-960が5780万円からなどとなっている。なおこれらの価格には、デルハードウェアのほかプロサポート費用(3年間)、NexentaStorのライセンス/サポート費用も含まれる。
サーバーが汎用ハードウェアに統合されたように、ストレージも
発表会に出席したデル 執行役員の町田栄作氏は、NexentaStorはOSSベースであるものの、デルがハードウェアの事前検証からプリセールス、保守までを提供するアプライアンスとして販売することで、より幅広い顧客とワークロードで使える汎用ストレージとして提供できるようになったと述べた。
「今回のNDシリーズを通じて、ストレージの“新しい当たり前”(ニューノーマルの意)を、より促進していけるのではないかと考えている」(町田氏)
またネクセンタ 日本法人代表の松浦淳氏は、仮想化技術の登場によってあらゆるサーバー/ワークロードが汎用ハードウェア(x86サーバー)に統合された一方で、ストレージはまだワークロードごとに異なるアプライアンスが導入されている現状を指摘。ネクセンタでは、サーバーと同じようにストレージも汎用ハードウェアに統合する世界を目指しており、それによりハードウェアコストや管理コストが大幅に低減されると説明した。
さらに松浦氏は、デルのようなハードウェアメーカーと提携し、アプライアンスとして販売することで「(Nexentaは)これまでは高い技術を持つ技術者向けのものだったが、より幅広いユーザー向けに展開できる可能性を見ている」と語った。
またアセンテック 代表取締役社長の佐藤直浩氏は、今回の発売と合わせ、デルから24×365の一元的なサポートを受けられるようになったと説明。同社としてもサポート支援のほか、顧客へのセミナーやコンサルテーション、PoC、技術支援などを提供していくと述べた。
なお発表会には、Dell-Nexentaアプライアンスを採用しているGMOインターネット 取締役 事業本部 ホスティング事業部長の児玉公宏氏も出席した。同アプライアンスの採用理由について児玉氏は、高いコストパフォーマンス、性能と可用性の両立、海外も含めた手厚い保守体制、という3点を挙げた。
「低廉なサービスを提供するために、採用するストレージ機器を一本化する必要があった。Dell-Nexentaの場合、用途に応じて(HDDからSSDまで)ストレージ選択の幅が非常に広く、利用ニーズに応じた選択が可能で、コストメリットが高かった。また、ConoHaではマルチリージョン(海外)展開も考えており、メンテナンス性の高さや海外での(デルによる)オンサイト保守が受けられることも評価している」(児玉氏)