大阪市立大学は7月8日、マツダとの共同研究で太陽光を利用して酢酸からエタノールを生成することに成功したと発表した。
人工光合成は植物の光合成のように太陽光のエネルギーを利用し、触媒に光を当てることで二酸化炭素と水といったありふれた物質から、各種化合物を合成する。さまざまな大学や企業の研究機関で進められているが、これまでメタノール(炭素数1)を作り出す反応は発見されていたものの、エタノール(炭素数2)の合成は世界初となる。
大阪市立大学 複合先端研究機構 人工光合成研究センターが今回開発した人工光合成系は、光合成色素誘導体や人工補助酵素などを利用するもので、人工光合成系に太陽光を150分間当てると酢酸の約5%がエタノールに変換される。
光合成を用いてエタノールを生産する技術はすでに植物を用いるバイオエタノールが流通しているが、人工光合成を用いることで食料となる作物を消費することなく燃料生産が可能となる。研究グループでは今後、メタンと二酸化炭素から酢酸を合成するなどの技術に取り組み、人工光合成技術の展開に取り組むという。