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藻から燃料にまた一歩前進

大阪府大、燃料生産に向けてミドリムシの代謝改変に成功

2015年04月15日 20時57分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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本研究の概要

 大阪府立大学は4月10日、バイオ燃料生産に向けたユーグレナ(ミドリムシ)の代謝を改変、ディーゼル燃料に適した油を合成させることに成功したと発表した。

 ユーグレナは光合成によって細胞内に油(ワックスエステル)を蓄積するため、藻類バイオ燃料生産に適していると考えられている。しかし。しかし、合成メカニズムに不明な点が多く合成を人為的に制御することは困難だった。

ワックスエステル合成における、脂肪酸伸長反応の概要

 大阪府立大学は大阪市立工業研究所と共同で研究を行い、合成過程には中・長鎖脂肪酸伸長酵素(3-ケトアシルCoAチオラーゼ)を同定、RNA操作を行った。通常のユーグレナは産出する油が炭素長14のミリスチン酸であるのに対し、酵素発現を抑制したユーグレナでは炭素長12のラウリン酸および13のトリデカン酸を主成分となる。

 同定・制御した酵素のは中・長鎖脂肪酸を伸長するもので、長鎖ワックスエステルではなく短鎖化ワックスエステルを合成させることが可能になったことは大きく、長鎖となている油は融点が高く(常温で固体ないしねっとりとした状態)なのでバイオ燃料に向かないが、ディーゼル燃料として使いやすい油を産出できるようになる。

 研究チームでは、さらにワックスエステル合成機構の解析を進め、異なる代謝制御を組み合わせるなどして目的に応じた特性のバイオ燃料を生産する技術の確立を目指すという。

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