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「Oracle HCM Cloud」の拡張機能「Work Life Solutions」を発表

SNSやウェアラブルも活用、オラクルが次世代人材管理SaaS

2015年07月10日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは7月9日、人材管理(HCM)/タレントマネジメントSaaS「Oracle HCM Cloud」の新しい拡張機能である「Work Life Solutions」を発表した。ソーシャルメディア分析による社員の評価、ウェアラブルデバイス活用の健康管理支援といった特徴的な機能を提供する。

説明会に出席した、日本オラクル 専務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括の下垣典弘氏

日本オラクル 執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 HCMクラウド統括本部長の首藤聡一郎氏

「Oracle HCM Cloud」は幅広い機能を提供する人材管理SaaS。今回は右下の「Work Life Solutions」が追加された

 Work Life Solutionsは、就業環境の変化、若年社員を中心とした“新しい働き方”といった動きに呼応して、企業が優秀な人材を惹きつけ、維持していくことを支援するための機能を人事部門に提供する。具体的には次のような機能がある。

 「My Reputation」:社内および社外(任意)のソーシャルメディア上での社員のアクティビティを分析することで、人事部門が社員の影響力やスキルを評価項目として活用できる機能。各社員が社内でどの程度「頼られているか」や、対外的なソーシャルメディアでの情報発信力などを知ることで、隠れた能力を見いだすことができる。また、リスクの高い不適切な発言を確認することができ、コンプライアンス強化にも貢献する。

「My Reputation」で、個々の社員の情報発信力や拡散力、コミュニケーションの活発さなどを分析できる。社内SNSに適用すれば、誰がプロジェクトのキーマンか、誰が頼られているかといったことが可視化される

 「My Wellness」:ウェアラブルデバイス(FitBitの活動量計など)から得た日々のフィットネスデータを可視化し、健康管理や体力維持に対する目標設定や進捗管理、アドバイスを提供して、社員自身の意識向上を促す。

 「My Competitions」:さまざまな目標達成に向け、個人あるいはチームがゲーム感覚で競うことのできる機能。上述したソーシャルメディア上での評価やヘルスケアデータ(歩数や運動量など)を競うコンテストの実施も可能。

「My Wellness」は健康管理のための機能。この画面例では賞金付きのコンテストを実施して参加を促している

「My Competitions」でさまざまなコンテストを実施できる。この画面例では社内SNSで意見投稿した回数コンテスト、ハックフェストなどに参加している

 上記3つの機能のうち、My Reputationは提供を開始している。My Wellness、My Competitionは近日提供を開始予定。

「一人ひとりに目を向けた人事」の実現に求められる“3つの柱”

 同日の説明会に出席した日本オラクル HCMクラウド統括本部長の首藤氏は、現在の企業においては「一人ひとりの社員に目を向けた人事」が求められていると語った。

 市場や消費者のライフスタイルが大きく変化し続ける現在、企業は自らビジネスを変革していかなければ生き残っていけない。一方で人事をめぐっては、日本を筆頭とする先進国では労働力人口の減少、企業への帰属意識の低下、仕事と私生活とのバランスを重要視する新しい世代の増加といった動きも見られる。

 そのため、現在のCEOは「ビジネスの変化をドライブする人材、変化を発想する人材に、いかに自社に残ってもらうか」を大きな課題と考えていると、首藤氏は説明する。そして、その解決のために、人事業務には「3つの柱」が求められると述べた。

一人ひとりに目を向けた人事の実現に向け、「事実に基づく意思決定」「社員のコンディションへの配慮」「隠れた優秀な人材の発掘、維持」という3つの柱が必要だと首藤氏

 このうち「事実に基づいた意思決定」は、単に過去のデータを詳細に分析するだけでなく、ビッグデータ分析に基づく「将来予測」も含むという。Oracle HCM Cloudでは、たとえばある優秀な社員が離職するリスクはどのくらいあるか、給与待遇を改善することでそのリスクや業務パフォーマンスはどれだけ改善されるか、といった予測が可能だ。

 「異動など、人事部の標準的なオペレーションを支援する従来型アプリケーションは多数ある。しかし、人材を発見し、育てていくというのはオペレーションではなく『情報の活用』だと考えている。そうした(人材に関する)情報活用の方法は、欧米の事例にかなり面白いものがある。今日紹介したものもその一例だ」(首藤氏)

 首藤氏は、日本におけるクラウド型人材管理アプリケーション市場は「まだまだ伸びしろはあると考えている」と述べ、タレントマネジメントの取り組みで先行する欧米などの事例を積極的に紹介し、オラクルとしてシェアを獲得していきたいと語った。

 また同社 専務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括の下垣氏は、杉原社長が2016年度の最重点施策として「POCO(The Power Of Cloud by Oracle)」を掲げたことに触れたうえで(関連記事)、グローバルではクラウドの中でも「人材管理のクラウド」に最も注力していると語った。

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