手持ちのUSB DACをWindows 10で運用してみる
WASAPI排他モードで再生することで、今までと同じようにノートPCの内蔵スピーカーで音を聴いていても、多少は音質がよくなるはずだ。しかし、ノートPCに限らずPC全般は基本的に音が悪い。というか、オーディオ機器のような音質重視の回路設計にはなっていないので、音質的には不利なのだ。
最近の内蔵用オーディオデバイスは、Realtek ALC887などのサウンドチップを使うものが多いが、昔と比べればS/N(信号とノイズの比率。数値が多いほどノイズが少ない)は88dBくらいはあるようで、一昔前のS/N60dBというほどひどい状態ではなくなっているようだ。
だが、CDのS/Nが90dBで、ハイレゾになると100dBオーバーや110dBというような数値になる。dBも対数値なので、数値の差以上に差は大きい。要はPC内でデジタル信号をアナログ信号に変換してしまうと、ノイズの影響を受けやすく、特に微小な信号が埋もれて聞こえなくなってしまうのだ。
というわけで、本格的にPCオーディオを楽しんでいる人は、オーディオ信号をデジタルのまま外に出し、外部機器でアナログ信号に変換することでノイズの影響を解消するというテクニックを使っている人が多い。信号をデジタルのまま外に出すのはUSB端子で、外部機器とはUSB DACのことだ。
すでにPCオーディオを本格的に取り組んでいる人にとって、一番気になる部分がここだろう。Windows 8.1までは96kHz/24bitまでしか対応しないUSB DACやUSB DAC内蔵スピーカーはドライバー不要(OSの持つ汎用ドライバー)で動作する。
96kHzを超える192kHz/24bitとか、DSD音源に対応するUSB DACは、OSが対応していないので専用のドライバーをインストールする必要がある。このドライバーがWindows 10に対応しているかどうかが問題となるわけだ。
「NANO-D1」は動作するが
「nano iDSD」「HA-1」は動かず
まずは、VAIO type Pを使って手元にあるUSB DACで試してみた。USB DACは、オラソニックの「NANO-D1」(実売価格4万5000円前後)とiFi Audioの「nano iDSD」(同2万5000円前後)、OPPO「HA-1」(同18万円前後)の3機種。
結論から言うと、NANO-D1のみ動作した。これらの違いは実に明確で、NANO-D1はドライバー不要の96kHzモードと、専用ドライバーを使う192kHzモードがある。iFi AudioとOPPOは、DSD再生にも対応するためASIO規格のドライバーを使っている。
すなわち、ASIO規格の専用ドライバーは今のところWindows 10プレビューにはインストールできず、iFi AudioとOPPOでは再生することができなかった。
動作するUSB DACとしては、オラソニックのNANO-D1だけでなく、ドライバー不要で使えるUSB DACは使えると考えてよさそうだ。もちろん、メーカーなどが保証しているわけでもないし、Windows 10もプレビュー版という状況なので、動作するかどうかは誰も保証しないが……。
次ページへ続く、「Windows Media PlayerではUSB DACへの出力ができない」
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