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ソニーのハイレゾワールド第二章! 進化したヘッドフォンを検証!! 第2回

絶妙なバランス! 6万円のソニー最上級ヘッドフォン「MDR-Z7」を検証

2014年10月01日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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新製品の大きな特徴であるバランス接続
……ところでバランス接続って何?

バランス接続に対応する「PHA-3」。バランス端子は3.5mmミニ端子を採用

バランス接続に対応する「PHA-3」。バランス端子は3.5mmミニ端子を採用

 さて、今度は新製品の最大のウリでもあるバランス接続を試してみる。MDR-Z7、MDR-A1はコード着脱式で、別売のバランス接続ケーブルを使用可能。ポータブルヘッドホンアンプの最上位モデル「PHA-3」(10月18日発売 実売予想価格10万円前後)と組み合わせることでバランス接続による再生が楽しめる。

 ハイレゾ対応携帯プレーヤーやポタアンなどでもバランス接続に対応した製品が登場してきたこともあり、多少知名度は上がってきているバランス接続だが、まだよく知らない人も多いと思うので、ここで簡単に説明しよう。

一般的なヘッドホン(アンバランス)接続のイメージ

一般的なヘッドホン(アンバランス)接続のイメージ

 一般的なヘッドホンの接続に使うステレオミニ端子などのコードは、3本の線で信号を送っている。右chのプラス、左chのプラス、左右chのマイナス(グランド)だ。

 しかし、マイナスが左右で共用されていると、わずかではあるが信号が混ざってしまう「クロストーク」が発生する可能性がある。

 左右の信号が混ざってしまうということは、左の耳だけに聴こえるはずの音が右の耳からも聴こえるというわけで、ステレオ感に影響を与える。いわゆるチャンネルセパレーションの低下であり、音の定位の良さ、個々の音色の音の粒立ちに影響する。

バランス接続のイメージ

バランス接続のイメージ

 バランス接続では、左右の信号のプラスとマイナス(グランド)が独立した4本の線での伝送となる。信号線が左右で完全に独立するため、信号が混ざってしまうことがないわけだ。

 こうしたバランス接続のメリットを最大限に活かすため、バランス接続に対応したポタアンでは多くのモデルが出力アンプもバランス構成としている。ポタアンに使われるオペアンプの多くは、1個で左右のchの信号を増幅できるステレオアンプだが、これを左右それぞれ1個ずつ使い、左chのプラスとマイナス、右chのプラスとマイナスをそれぞれ独立して増幅する。左右の信号がアンプ回路でも完全に独立するため、クロストークの発生をさらに低減できるというわけだ。

 もちろん、必要なアンプがもう1つ増えるのでコスト的な負担も大きいが、音質的にもかなりのメリットがある。もともと高級オーディオの世界でよく知られるものだったが、ヘッドホンの高性能化やより高音質を求めるニーズに合わせて、バランス接続を採用するヘッドホンやポタアンが増えてきたのだ。

ポタアンにおけるバランス接続は
ケーブルの共通化が進んでいない

バランス接続に対応するラトックシステム「REX-KEB02AK」の場合、2.5mmマイクロ端子を採用

バランス接続に対応するラトックシステム「REX-KEB02AK」の場合、2.5mmマイクロ端子を採用

 ヘッドホンにおけるバランス接続はまだ製品が登場したばかりということもあり、コスト的な負担だけでなく、互換性の問題もある。

 接続するコードに使われる端子がメーカーによってバラバラで、例えヘッドホンとポタアンがバランス接続できるモデルでも、それらを接続するコードがなければ使えないということになる。

 ソニーの場合、バランス接続での端子は、アンプ側が3.5mmのミニ端子×2となっており、他社のバランス接続対応のポタアン(2.5mmプラグ×2だったり、3.5mmプラグ×1だったり)とは異なっている。

 このため、MDR-Z5とMDR-A1は別売の専用接続コードを使用し、PHA-3としかバランス接続ができない。オーディオケーブルのメーカーが他社のポタアンなどと接続できるコードを発売してくれればその問題も解決できる(自作も可能)が、ヘッドホンごとに専用のコードをいくつも揃えなければならないのはちょっと面倒だ。

 このあたりのハードルの高さもあり、まだまだバランス接続はマニアックな面が多いと言わざるを得ない。

 とはいえ、そんなマニアックな楽しみまで、ソニーが手を伸ばしてきたことは本格的な普及も期待できるし、音質向上の楽しみが広がるという意味でも大歓迎だ。

次ページへ続く、「MDR-Z7のバランス接続を試してみた!

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