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中国によってソフトウェアの常識は変わっていく

2014年08月13日 16時00分更新

文● Matt Asay via ReadWrite

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オープンソースは全てに影響している

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中国は我々を必要としていない。ソフトウェアも、プログラマーも、我々の作り出すどんなものも必要ではない。

中国は毎年10万人以上の新たなソフトウェア・エンジニアを生み出している。そのエンジニアたちは信じられない量の良質なソフトウェアを世に送り出す。また中国国内で作れないソフトは違法コピーされ、2012年の統計では国内で使われる77%ものソフトウェアがコピー製品だった。西側のITベンダーがオープンソースやクラウドに手間取っている中、中国が事態をより悪化させている。

状況はかなり悪い。

現在西側企業のビジネスモデルは中国により脅かされているが、中国で活路を見いだせる企業の将来は非常に明るく見える。

中国リスク

もちろん誰もが中国に協力的というわけではない。例えばマイクロソフトは、同社へのライセンス料未払いの中国企業が各州へ進出することを防ぐようそれぞれの州検事総長に働きかけている。これは非常にスマートなやり方で、マイクロソフトに数十億ドルもの収入をもたらすかもしれない。ただ結局力技で無理をしていることに変わりはない。

関連記事:中国に対する新しいアンチパイラシー戦略で、マイクロソフトは戦いには勝つかもしれないが、最終的な勝者にはなれないだろう

非常にシンプルに、中国は知的財産に関してマイクロソフトとは根本的に異なる考え方を持っているのだ。

以前私が書いたように、「インド同様に中国企業は自国のソフトウェアよりも複雑で独占であったとしてもより優れていればそれを購入する傾向がある」。しかし、これは長く続かないだろう。中国のソフトウェア産業は現在急激に成長しており、その速度は全く衰えていない。中国は自ら必要なソフトウェアを開発出来るまでは違法コピーを繰り返すだろう。

関連記事:インドがソフトウェアにお金を支払い始めた:中国もこの動きに追随するだろうか?

さらに中国ではソフトウェアの販売方法も北米のそれとは違う。彼らのソフトウェアは機器に搭載されているか、クラウドに存在するか、無償でサポート費用のみで提供されるケースが多い。これらは違法コピーが難しい。

それに各々の企業は、当然のことながら、オープンソースで利益を出している。

中国でのオープンソース

中国におけるオープンソースに関するJ.アーロン・ファールのレポートで取り上げられたように、CCIDのアナリストHu Keは「中国のオープンソース・コミュニティーは比較的小さくあまり影響力がありません。大きなプロジェクトは見当たらず、参加者も少なく、投資金額も微量です」と述べている。

これは悪いニュースだ。

良いニュースがあるとすれば、Huaweiのような企業はオープンソースを戦略的に優先づけていることだろう。例えば同社のオープンソース用サイトは古く、情報に欠けているが、実際社内の現状は違うようだ。Huaweiやその関係者との会話によると、社内におけるオープンソースに関する関心や知識は非常に高いが、オープンソース・コミュニティーとの接し方について今一つノウハウが足りていないのだろう。

これは長くは続かないだろう。

1つには、中国の大手ウェブ企業はオープンソースを積極的に取り入れており、これは業界全体の今後の動きを占うものだといえる。Baidu、Alibaba、Weiboの誰に聞いても彼らの使うソフトウェア・スタックはオープンソースであることが明らかだ。

つまり、米国や欧州の大手ウェブ企業と何も変わらないのだ。

今IT業界でもっとも勢いのあるベンチャー企業が採用しているテクノロジーから、今後の一般的な中国企業が導入する技術が見えてくる。これは西洋のマーケットでも同じで、その内容の多くは当然ながらオープンソースだ。

中国への販売

これら全てが意味することは、中国のソフトウェア産業の未来はアメリカのソフトウェア業界の過去とは全く異なるということだ。巨大ソフトウェア企業がほとんど使われないような独占的なソフトウェアを大量に販売して何十億ドルも売り上げるような構図は成立しないだろう。西洋感覚的な「知的財産」は、中国のテクノロジー経済には居場所がないのだ。

代わりに、中国でソフトウェアを販売するベンダーはソフトウェア以外の何かを売る必要があるだろう。クラウド・サービスは成功するだろう。ハードウェアも大丈夫だ。サポートやコンサルなども十分な可能性を秘めている(ただマージンは低いかもしれない)。基本的に、中国のソフトウェア産業はオープンソースで溢れ、ソフトウェアのライセンスビジネスは成立しないだろう。

トップ画像提供:hackNY.org

Matt Asay
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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