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イグノーベル受賞者も講演!! 謎技術展「NT金沢2014」レポ

2014年07月14日 17時00分更新

文● 多田祥人

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金沢駅のシンボルともいえる鼓門。このわかりやすい目印の下で、“技術のむだ使い”満載な展示会「NT金沢」が開催された

 VOCALOIDやゲーム実況プレイ、歌ってみた、踊ってみたなど多種多様なカテゴリーを擁する、動画コミュニティーサービス「niconico」。そのカテゴリーのひとつに、謎の技術を駆使し、ワクワクする未来を感じる作品が集結する「ニコニコ技術部」がある。

 7月12、13日、そんなニコニコ技術部の有志による展示交流イベント「NT金沢」が、金沢駅地下のイベントスペースで行われた。過去に前編後編とレポートした「NT京都」に続けて、今回も全75組の出展の中から特に目を引くブースを紹介していこう。

午前6時半頃、金沢駅もてなしドーム地下の様子。開始の午前10時には見事にカオスな空間へと大変貌を遂げた

イグノーベル賞も認めた、タマネギで涙が出る仕組み

 ライトニングトークのスペースでは、2013年にイグノーベル賞の化学賞を受賞した、石川県立大学学長の熊谷英彦氏が登場。「タマネギで涙が出る仕組みとイグノーベル賞授賞式」というテーマで30分間熱弁をふるった。

 イグノーベル賞は1991年に創設され、「人を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に与えられるというものだ。日本人では、足の臭いの原因物質の特定や、兼六園にある銅像に鳩が寄り付かない原因の解明、牛の排泄物からバニラの香りを抽出した研究など、すでに19組が受賞している。

 タマネギを切った際に起こる催涙作用は、かつてニンニクと共通する物質が原因と考えられていた。しかし、ニンニクでは涙が出ないため、熊谷さんが関わるチームは「ニンニクにはなくタマネギにだけ含まれる要素があるはずだ」という仮説を立てて実験をしたのだという。その結果、先のニンニクと共通する物質を催涙成分に変化させる酵素が、タマネギにのみ含まれていることを明らかにした。

 ちなみに、これまで2万個以上のタマネギを実験に使ってきた熊谷さんのイチオシのタマネギ料理は、スライスしたタマネギを水にさらして、かつお節をのせるというオニオンスライスやオニオンスープだという。

熊谷英彦氏は学術分野で優れた業績をあげた研究者に贈られる「日本学士院賞」も受賞したことがある人物だ。受賞のきっかけとなったのは、熊谷さんやハウス食品の研究チーム、法政大学の長田敏行教授ら7人が執筆して、2002年に科学雑誌「Nature」に掲載された「An onion enzyme that makes the eyes water」(涙を出させるタマネギの酵素)という論文だった

タマネギで涙を出る仕組み。「イソアリイン」という物質と「アリイナーゼ」という酵素が前駆体を作る。さらにタマネギにのみ含まれる「LF合成酵素」が加わると催涙成分が生まれる

イグノーベル賞でもらった皮肉の利いた賞品。ほかにハイパーインフレをして有名なジンバブエの通貨、10兆ジンバブエ・ドルも受け取ったという

100均アイテムで超高解像のVRを実現

 kinnekoさんが開発した、仮想現実(VR)体験ができる「FakeRift 10号機」。材料は7型のAndroidタブレットと100円均一ショップで準備した虫眼鏡やゴーグルなどで、パソコンなど外部機器を使わずに運用ができるのが強みだ。初日には130人が体験した人気作だった。

 ほかにも、ダンボール製HMDより強度があって、汗にも強いプラスチック素材で作った「taovisor(仮)」も展示。こちらは、近々、クラウドファンディングサイト「モーションギャラリー」で募集を開始する予定だという。

タブレットと百均素材で作られたFakeRift 10号機。子供から大人まで興味津々に覗いていた

スマートフォンを使ったVR体験ができるtaovisor(仮)

公開当初、展示物の名称が一部異なっておりました。お詫びして修正いたします。(7/15 01:00)

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