シャープは中小型ディスプレーの取り組みについての説明会を開催し、「フリーフォームディスプレイ」(FFD)などについての説明を行なった。
究極の狭額縁を目指した結果
フリーフォームに行きついた!
FFDは同社が6月18日に発表したディスプレー技術で、従来の四角形ではなく自由な形の液晶ディスプレーを実現できるもの。現在車載向け(インパネおよびインフォメーションディスプレー)として開発を進めており、2017年頃に実用化する予定。このほかにもウェアラブル端末やスマートフォン、タブレット、マルチディスプレーなどへの展開を検討している。
同社のディスプレイデバイス開発本部 表示モード開発センター 所長の伊藤康尚氏によれば、開発の発端となったのは2年前に“ディスプレーの価値”について、社内で議論したことだったという。
将来的に画質面での技術競争は飽和するということを見越して、そのほかの価値を検討した結果、“デザイン性”という部分に注目。徹底的な狭額縁化を目指して開発を行なってきた。
従来の液晶は画面の周囲(上下左右)に駆動回路を搭載していたが、FFDは画素内に駆動回路(ゲートドライバー)を分散配置。この結果、三辺(上と左右)を超狭額縁化することに成功。「フレームレス」ディスプレーとしてCEATECで技術参考展示していた。
そして、このフレームレスディスプレーを応用したのがFFD。ゲート信号線を内側(画素内)から外側(額縁方向)に向けて駆動させることで、額縁の形状を自由に設計することを可能とした。また、穴の開いたディスプレーの製作やフレキシブルディスプレーとの組み合わせも可能とのことで、「ディスプレー搭載機器の形状を自由に設計でき、用途拡大を促せる」と、デザインの革新性を特徴に挙げた。
なお、FFDにはIGZOパネルを採用する。アモルファスシリコンでも実現は可能だが、構造上開口率が低くなる。IGZOは薄膜トランジスタ(TFT)の小型化により開口率を高くでき、FFDの開口率の低さを相殺できるという。
次世代の「MEMS」ディスプレーも開発中!
このほか、同社は「MEMS」(Micro Electro Mechanical Systems)と呼ばれるマイクロマシン技術を採用したディスプレーをPixtronixと共同開発中。
画素ごとにシャッターを設け、その開閉でRGBの光量を調節。偏光フィルムなどを使わない仕組みにより、低温環境でも応答速度が落ちない点やNTSC比で120%という色純度、既存の液晶ディスプレーと比較して約半分という低消費電力などが特徴だ。
(次ページに続く、「中小型ディスプレー生産体制を構築」)