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エントリモデル「FAS2500シリーズ」もあわせて投入

「FAS8080 EX」でオールフラッシュFASが現実的な選択肢に

2014年06月19日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月18日、ネットアップは同社の主力製品であるclustered Data ONTAP搭載のユニファイドストレージとして、ハイエンドモデルの「NetApp FAS8080 EX」およびエントリモデルの「NetApp FAS2500シリーズ」を発表した。

もっともパワフルなハイエンド「FAS8080 EX」

 新製品のFAS8080 EXは「ネットアップ史上もっともパワフルなFASシステム」を謳うハイエンドストレージで、従来のハイエンド機種「FAS/V6250」「FAS/V6290」の後継機種にあたる。CPUコア(40コア)、メモリ(最大256GB)、NVRAM(最大32GB)などを大幅に増量させたほか、従来の1.5倍となる36TBのフラッシュをサポート。FAS/V6290に比べて、1.7倍のパフォーマンスを実現した。特にライトキャッシュで用いるNVRAMの増量により、ラージシーケンシャルライトで威力を発揮するという。

ハイエンドモデルの「NetApp FAS8080 EX」

 I/Oに関しては、10GbE×8、UTA2ポート×8、1GbEポート×8、6Gbps SASポート×8など多彩なインターフェイスを数多く搭載するほか、PCIe Gen3スロットも24スロット用意。拡張性も高く、最大構成の24ノードでクラスター化することで、スループットで最大400万IOPS、容量は約70PBまで拡張できる。

 製品を紹介したネットアップ 執行役員 CTOの近藤正孝氏は、「最新のインテルのIvy Bridgeを搭載し、最強の心臓部を持っている。性能要件の厳しいシステムにも対応できる」とアピールする。また、最新のclusterd Data ONTAPの搭載により、高い可用性やマルチテナンシー、QoSなどを実現し、数PB規模のクラウドや仮想インフラの構築を可能にする。

ネットアップ 執行役員 CTO 近藤正孝氏

 また、あわせてエントリストレージ「FAS2500シリーズ」も投入される。こちらはFAS2220の後継シリーズにあたり、ハードウェアの刷新やフラッシュ容量の拡張などが施された。

 今回の発表をもってFASのラインナップは2000シリーズと8000シリーズに統合され、3000シリーズや6000シリーズは新シリーズにマイグレーションされる。また、VシリーズもFlexArrrayというソフトウェアになったため、FAS/Vという製品名も以降、使われないことになる。

2000シリーズと8000シリーズによるラインナップ

オールフラッシュのFASもイチオシ

 今回、ネットアップがアピールしたのは、FAS8080 EXのオールフラッシュ構成だ。FASのソフトウェアであるData ONTAPは、もともとHDDに最適なソフトウェアとして開発され、現在はSSDとHDDのハイブリッド構成で用いられるのが基本となっている。また、フラッシュに最適なOSを新たに搭載するオールフラッシュアレイ「FlashRay」の開発も進められている。

 その一方で、Data ONTAPではNVRAMを活用した追記型のファイルシステムやRAID-DPなど、アーキテクチャ自身がフラッシュにやさしいという特徴があるという。また、clustered Data ONTAP(Data ONTAP 8.0.1以降)でオールSSDの構成がサポートされ、マルチスレッド機能も強化。そして、今回最新のチップセットやハードウェアを採用したFAS8080 EXが投入されたことで、オールフラッシュ構成のFASも現実的な選択肢になったという。

オールフラッシュFAS登場の背景

 リッチな仮想化やデータ保護機能を持つFASシリーズであれば、機能面でEFシリーズやFlashRayを大きく凌駕するほか、性能面でもこれらのオールフラッシュアレイにひけをとらない。実際、ヘビーなVDIのワークロードでは、FAS8080 EXのオールフラッシュ構成が、同社の「EF550」や他社のオールフラッシュアレイと同等もしくは同等以上の性能を出した検証結果も披露された。

 これにともない、FAS8060(2014年2月発表)とFAS8080 EXではオールフラッシュに最適な構成済みシステム(リファレンスアーキテクチャー)用意する。この結果、ネットアップはシンプルな「EFシリーズ」、オールフラッシュ構成のFAS、そして将来的にはオールフラッシュ前提にソフトウェアを作り直しているFlashRay(未発売)の3つのオールフラッシュアレイを選択肢として用意することになる。

オールフラッシュアレイは3つの選択肢へ

 近藤氏は、「FlashRayが投入されても、オールフラッシュ構成のFASという選択肢を提供し続ける」と述べ、今回の施策がFlashRayまでの“場つなぎ”という観測を一蹴した。

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